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【7月14日】みんななかよく

公開日
2025/07/14
更新日
2025/07/14

校長のひとりごと

 昨日の西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 ポケモン、ドラえもん、ガンダム…。日本初のキャラクターが世界の人を引き付けている。漫画やアニメの物語から生まれたキャラクターが多い中、猫をモチーフにしたハローキティはグッズのデザインとして登場した。福岡市美術館で開催中の展覧会に足を運ぶと、幅広い世代の女性でにぎわっていた。写真を取り合ってはしゃぐ会話には外国語も多い。世界中で親しまれている人気者だ。誕生から半世紀。プロフィルには英国ロンドン生まれ、身長はリンゴ5個分、体重は3個分とある。目と鼻はあるが口は描かれていない。見る人が悲しい時は一緒に悲しんで、うれしい時には一緒に喜んでいるように見えるからという。販売元のサンリオは商品情報を載せた月刊紙いちご新聞を発行している。「いちごの王さま」こと創業者、97歳の辻信太郎さんは創刊以来、子どもたちへのメッセージをつづってきた。毎年8月号では自身の戦争体験を伝えている。七夕の夜、山梨・甲府で空襲に遭った。妹をおぶって汚い川の中を逃げる途中、焼夷弾で焼け死んだ女性と赤ちゃんを見た。何も悪いことをしていないのになぜ殺されるのか。戦わず、争わないために何ができるのか。考え続けた辻さんは記念日や何かのお礼にハンカチ1枚、鉛筆1本でも贈り合えば人はもっと仲良くなれると信じて、会社を起こした。「みんな仲良く」の願いがキティには込められている。


 ハローキティーは知っていても、コラムに書かれているようなことはまったく知りませんでした。少し調べてみると…

 戦後の高度経済成長期を経て、家庭や学校での生活を明るく彩るような可愛らしいキャラクターが求められていた時代背景の中で、「小さな贈り物に幸せを」というサンリオの考え方に基づき、ハローキティは人々の心に寄り添う存在として設計されました。デザイナーの清水侑子さんは、シンプルながらも親しみやすいデザインを目指し、「猫」を採用しました。ハローキティのリボンは「友情」や「絆」を象徴する意図が込められているそうです。当初は名前もなく、社内では単に「ねこ」と呼ばれており、最初の商品である小さな財布「プチパース」には、「Hello!」のメッセージだけがかかれていたそうです。そのあと爆発的に人気がでてきたとき、ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場するネコの名前「キティ」に「ハロー」をつけ、命名されたのこと。

 サンリオの企業理念には次のようなことが載っています。

「みんななかよく」

 毎日を幸せな気持ちで生きていきたい…それは私たち人間の心からの願いです。

 では、本当の幸せとはいったい何でしょう。どんな人間も、たったひとりで生きることはできないのではないでしょうか。支え合い、助け合ってはじめて生きていくことができるのです。ともに生きる仲間たちと信じあい、仲良く生きていくこと。それが、私たち人間にとっての本当の幸せなのではないでしょうか。その仲間とは、親子、きょうだい、夫婦、友人、恋人といった身近な存在から、学校や会社の同僚、そして世界中のひとびとにまで広がっています。それらのひとたちと理解しあい、仲良くしていくために大切なのは、まず自分から相手を信じ、尊敬し、愛すること。そして、そうした気持ちを表現すること…これがサンリオを支える考え方です。

 サンリオは、1960年の創業以来、この考え方を基本に、ギフトおよびグリーディングカードの企画・販売、出版物・いちご新聞の編集・発行、テーマパーク事業などを行ってきました。これらの事業を通して私たちがめざしてきたのは、心を贈り、心を伝えるビジネスです。

 私たちは「One World, Connecting Smiles」というビジョンを胸に、一人一人の笑顔を作り出し、幸せの輪を広げていくことによって「みんななかよく」という企業理念の達成を目指しています。悲しいとき、苦しいとき、楽しいとき…どんなときも、心から話し合えるひとがいる幸せを、一人でも多くのひとに感じてもらいたい。そう願って、私たちは事業に取り組んでいます。


 単なるかわいい猫のキャラクターだと思っていたハローキティにはこんなにも様々な思いや願いが込められているとは知りませんでした。それと同時に、戦争体験のある辻さんの「本当の幸せとは何かを追求し、一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていく」ことを大切にしながら「みんななかよく」を形にされている会社なのだということを知りました。そういう背景を知ると、ハローキティがただかわいいだけでなく、“愛と平和を願う使者”のようにも見えてくるのは私だけでしょうか?(^_^)


(ひとりごと 第1058号)