最近の記事はこちらメニュー

最近の記事はこちら

【9月18日】見極める力

公開日
2025/09/18
更新日
2025/09/18

校長のひとりごと

 9月8日付、日本教育新聞のコラム『不易流行』からです。


 近年のSNSなどのメディア環境の変化は、政治や社会の議論にも大きな影響を及ぼしている。特定の人物や立場を強く支持するあまり、その発言や行動を批判的に検証せず、そのまま受け入れる状況はまさに「推し活」である。この背景には、支持対象に自己を重ね、自らの存在価値の確認と結び付ける真理があるのではないか。他社には批判的でも、自らの支持的対象への批判には攻撃的に反応するのは、自己否定されたと考えるからであろう。また、SNSの閉じたコミュニティは、同質的な意見を強化し、集団規範を固定化していく。こうした状況を見ると、学校教育の思考力育成は十分だったとは言い難い。思考には情報が不可欠だが、学校は情報は正しいことを前提とし、その真偽や妥当性を疑うことを教えてこなかった。

 現代は、誤った情報や意図的に人をだますための情報があふれ、批判的に情報を吟味する姿勢が不可欠である。次期学習指導要領では、思考力育成と批判的に情報を捉える力を一体的に扱うべきである。

 さまざまな情報があふれる現代。逆に集まってくる情報は矮小化(わいしょうか:実態を小さく見せること、本質的なところではない部分を強調すること)している。その陥穽(かんせい:人をおとしいれること)を理解し、新たな視点で能動的に情報を収集していかなければ正しい判断はできない。

 教育界にも「推し活」のような動きがある。教育者にこそ自他を批判的に見る力が求められる。


 「推し活」という言葉をよく聞くようになりました。自分が心惹かれる「推し(対象)」を応援する活動をいうようです。その対象は、アイドルや俳優さん、アニメのキャラクター、建物や食べ物まで様々です。「推し」の存在によって、元気が出たり、活力がわいてきたり幸せな気持ちになったりすることはとてもよいことだと思います。ただ一方、行き過ぎると間違った行動や人に迷惑や心配をかけるような行動になったり、嘘の情報であっても信じてしまったりすることもあるということなのだと思います。

 私たちの身の回りに情報があふれています。たいへん便利になった半面、コラムにもあるような偽の情報、人を悪意をもって陥れる情報、詐欺など様々なです。それらを見極める力、情報と上手に向き合う力が大切なのだろうと思います。そのためにも、学校教育においても、授業の中でも「なぜ?」「どうして?」「ほんとに?」と思うこと、そしてそれを確認し、自ら調べ解決していけるような力をもっとつけていけるような教育が必要なのだと思います。そして何より、私たち大人がそういう視点をもち、見る力、見極める力をつけるためにも、学び続けなければと思います。


(ひとりごと第1076号)