【11月25日】あと1%の努力
- 公開日
- 2025/11/25
- 更新日
- 2025/11/25
校長のひとりごと
東洋思想研究家、田口佳史さんの著書『超訳 論語~「人生巧者」はみな孔子に学ぶ~』からです。
■たとえば山をつくるが如し。
未だ一簣(いっき)を成さざるも、止むは吾が止むなり。[孔子]
(訳)あと一息で完成するというとき、その「あと一息」をがんばれなかったら、すべての努力は水泡に帰す。誰の、何のせいでもない、やめたのは自分自身だと自覚しなさい。
これと似た言葉が『書経』にある。それは、
「山をつくること九仞(きゅうじん)にして、功を一簣に虧(か)く」
というもの。直訳すると、「最後に一杯のもっこ[土や砂を運ぶための運搬用具]の土を欠いても、山は完成しない」。このたとえから、「事を99%まで成したところで、最後にわずかな油断をしたために失敗する」ことを意味する。
孔子はさらに厳しく、「あと1%の努力を惜しんだのは自分自身である」と指摘する。「あとひと息だったんだけど、ちょっと体調が悪くてさ」とか、「あとひと息だったんだけど、思わぬところから横槍が入ってさ」といった抗弁(こうべん:反論すること)を許さないのである。その意味では、「努力したんだけど、うまくいかなかった」ということはありえない。「自分の勝手であと1%の努力を怠った結果、うまくいかなかった」というのが本当のところである。
何であれ、物事に取り組むときは、「もう終わりにしようかな」と思った瞬間に、「いや、あともうひとがんばり」と自らを叱咤激励していただきたい。
孔子も田口さんも「本当に最後の最後まで油断せずに頑張ったのか?」と問うているのだと思います。人間はどこか甘えが出て、うまくいかなかったことを誰かのせいにしたり、言い訳をしたりして、自分を正当化したい気持ちがある(私がそう…)。ですから、何事においても、やめたくなったりきつくなったときに、誰かのせいにすることなく、自分を励まし、自分を信じつつ「もうひと頑張り」することの大切さ、そして、そうやって自分の弱さと向き合って乗り越えたときにこそ、成功や成長があることを教えてくれているのではないかと思います。
そうはいっても、すぐに弱い気持ちが出てくる私…。せめてこの「ひとりごと」くらいはもうひとがんばりしなければ…。
(ひとりごと第1120号)