【1月27日】丹精を込めて
- 公開日
- 2026/01/27
- 更新日
- 2026/01/27
校長のひとりごと
致知出版社『1日1話、読めば熱くなる365人の人間学の教科書』の中にある北里大学特別栄誉教授で化学者の大村智さんの「足るを知る者は富む」からです。
昔から「ピンチはチャンス」と言いますけど、苦難の中にあっては大きなプラスの芽が必ずあるし、それが次の発展に繋がると私は思っています。「こういう可能性があったのか」と新たな気づきや発見もきっと生まれることでしょう。
人間はこれまで傲慢すぎたのだと思います。自分たちの力で自然でも何でもコントロールできると、とんでもない間違った考えをするようになった。その結果、人間が地球環境を侵す発生源になり、地球は病気になってしまった。異常な大きさの台風の発生や40度を超える猛暑はその象徴ですよ。私たちはここで傲慢さを捨てて「大自然に生かしていただいている」という感謝の気持ちを取り戻さなくてはいけません。見方を変えると、これからの時代は、困難になるほど、助け合う、譲り合う、励まし合うということが個人レベル、集団レベルで行われるようになると思うんです。そこに絆が生まれる。これはとてもいいことですね。ちょうど、そのことを思い出しながら、きょうは老子のある言葉を色紙にしたためてきました。
知足者富(足るを知る者は富む)
満足することを知る者は心豊かに暮らすことができる、という意味です。足るを知ることで心は穏やかに保たれ、一日の食事やなすべき仕事を与えられていることに感謝の念が湧いてきます。いろいろな困難に直面しても、「あれが欲しい、これが欲しい」と欲をかかないで小さなことにも満足していくのが心の習慣。ウィズ・コロナの時代に求められる一番のマインドはそれではないかと思います。
私なりにもう一つ付け加えれば、何事にも丹精を込めて生きるということが大事だと思います。数年前、臨済宗の高僧・松原泰道先生が101歳の時に「よき人生は日々の丹精にある」という言葉を贈ってくれましたが、これはこういう苦難の時にこそ嚙み締めなければならない言葉だと思います。
「ウィズ・コロナの時代」、私たちは当たり前が当たり前でなくなりました。日常生活の中で様々なことが制限され禁止されました。学校においても突然の全国一斉の休校にはじまり、登校できるようになってからも、感染者が出るとまた休校…濃厚接触と判断されると自宅待機など本当にたいへんな状況でした。先生方は、頻繁に校内を消毒したり、その対応で疲れていきました。楽しみにしていた行事も延期、中止となり、学校の教育活動がままならない日々が続きました。
休校になって子どもたちがいない学校は本当にさみしかった…。子どもたちが学校にいてくれることの有り難さ、授業ができることの有り難さ、楽しく会話したり遊んだり…そんな日常が本当に有り難かったのだということに気づきました。同時に、健康であること、何より「命」の大切さについて改めて気づかされました。もっと「当たり前」に感謝する、日常の何気ないことに感謝する、私たちはたくさんの「おかげ」で生かされていることを実感しました。だからこそ、これからも「助け合う、譲り合う、励まし合う」ことが大事なのだと思います。
ついつい「欲」が出る私たち。それはある意味自然なことかもしれませんが、それでもやはり「感謝」と「敬意」、そして「謙虚」な気持ちを忘れないことが大切なのだと思います。大村さんの言葉にある「丹精を込める」こと。それは「心を込めて一生懸命に物事にあたる」ことです。日々の様々なことに感謝しつつ、丹精を込めて、事にあたりたいと思います。
(ひとりごと第1154号)