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【12月9日】執念

公開日
2025/12/09
更新日
2025/12/09

校長のひとりごと

 人間学を学ぶ月刊誌『致知』に、安藤百福発明記念館横浜(カップヌードルミュージアム横浜)前館長の筒井之隆(つついゆきたか)さんが安藤百福(あんどうももふく)さんについて書かれた文章が載っていました。安藤百福さんは、47歳ですべての財産を失うことになりますが、そこから立ち上がり世界初の即席麺「チキンラーメン」や世界初のカップ麺「カップヌードル」を発明された日清食品の創業者となった方です。その方の側近として20年以上行動をともにしてこられた筒井さんが心に残っている安藤さんの言葉等について紹介したいと思います。


■「仕事を戯(たわむ)れ化せよ」という言葉です。我を忘れて夢中に働くための最上の方法は戯れ化する、つまり遊び心を持つこと。そのためにはまず、自分で仕事を企画立案する。自ら始めた仕事は成功も失敗も自分の責任だからこそ、楽しみながら打ち込めるということです。

■好奇心が旺盛で、時代の流れをいち早く察知し、すぐに事業化する行動力が安藤さんの身についた習性のようなものでした。取り組んだ事業には一見脈略がないように思えますが、安藤さんは「何か人の役に立つことはないか。何か世の中を明るくする仕事はないか。そう思って周辺を見渡すと、事業のヒントはいくらでも見つかった」と…。

■「転んでもただで起きるな。そこらへんの土でもつかんでこい」

■「発明は閃き(ひらめき)から、閃きは執念から。執念なきものに発明はない」

■あるとき、「筒井君、君の腕時計の針が何を指しているか分かるか?」と聞かれ、「時間です」と答えると、こう諭されました。「時計の針は時間を刻んでいるんじゃない。君の命を刻んでいると思いなさい」。時は命なり…。この安藤さんの言葉は経営を越えて、人生に通ずる教えではないでしょうか。

■「人生に遅すぎることはない。60歳、70歳からでも新たな挑戦はある」


 安藤さんは、48歳で「チキンラーメン」を発明、そして61歳で「カップヌードル」を誕生させました。そのあとも現役を続け、90代で宇宙食ラーメンを開発されました。そのラーメンは、宇宙飛行士の野口聡一さんが宇宙ステーション内で食し、安藤さんの夢は宇宙にまで達したということです。

 安藤さんの凄まじいまでの探求心や執念、夢を持ち続け挑戦し続けることの素晴らしさ、また人の役に立つ仕事をすることの大切さが伝わってきます。

 安藤さんほどの仕事はできなくても、信念や志を持ち続け、人の役に立つ、そして人が笑顔になり幸せになるような仕事をしたいものです。


(ひとりごと第1131号)