【5月8日】共に…
- 公開日
- 2024/05/08
- 更新日
- 2024/05/08
校長のひとりごと
昨日の体育祭結団式で私は次のようなことを子どもたちに話しました。
体育祭は「みんなのための体育祭」です。そしてみんなにとっての感動的な素晴らしい体育祭にするために、運動が好きとか嫌いとか、自分が楽しければよいなどの自分勝手な気持ちを捨て、自分の精一杯の力で取り組まなければいけません。ひとつの目標に向かって協力し取り組んでいくことの素晴らしさを体育祭の取組を通して学んでほしいです。
また、見えないところで頑張っている人のことを考えてほしいです。このことにどれだけの人が関わり、どれだけの時間がかかったかを想像してほしい。準備は誰がしてくれたのだろうと思いをめぐらせてほしい。たくさんの人のおかげで体育祭の練習ができることに感謝をし、それを言葉や行動に表してほしいと思います。
何より、一生懸命取り組まないと楽しくないです。適当にやっても何も残らないです。ドベ(最下位)でもいい。一生懸命に取り組むことにこそ価値があります。やはり、「一生懸命がかっこいい」のです。リーダーの皆さん、よろしくお願いします!3年生の皆さん、皆さんの姿を1、2年生が見ています。1、2年生を導いてください。皆さんの力で、史上最高の感動的な体育祭になるように期待しています!
子どもたちは真剣な表情で聞いてくれました。そのあとの実行委員長の宮崎龍史さんをはじめとした実行委員の紹介、係長の紹介、ブロック長の紹介、そしてブロック結団式となるにつれて、子どもたちの返事や声もどんどん大きくなり、一日での成長も見えました。これからリーダーを中心に、「共に創る感動的な体育祭」に向けて、すべての子どもたちが協力し取り組んでほしいと思います。
昨日、先生方に「共に創る」という通信を発行しました。その中に私が出会ったあるリーダーの子の話を載せました。
彼は、何より日常生活を頑張っていました。誰よりも挨拶をし、誰よりも授業に集中し、誰よりも掃除を頑張りました。誰にでも優しく他の人の仕事まで手伝うなど、気配りも忘れませんでした。体育祭練習では、誰よりも走り、誰よりも声を出し、的確な指示を出しながら取り組みました。きっと相当疲れているはずなのにいやな顔ひとつせず、弱音を吐かず本番まで全力でリーダーとして活躍しました。そして、当日…精一杯頑張った彼のブロックは、総合順位では最下位でした。ブロック解団式のとき、多くの生徒が下を向いて泣いている中、彼は最後にブロックの仲間にこう語りかけました。
「みなさん、顔を上げてください。あの得点ボードを見てください。あの点数には、全員の頑張りが詰まっています。1番だろうが、最下位だろうが、みんなが一生懸命頑張ってくれたから、その結果の点数が入っているのです。最下位でも点数は入っています。確かに優勝はできませんでした。でも、みんながいてくれたおかげであの点数になったのです。だから、みなさんは、ここにいるだけで価値があるのです。みなさんと頑張れたことを僕は誇りに思います。だから、胸を張ってください。顔を上げてください。みなさんと共に過ごした時間は、僕の『宝物』になりました。こんなリーダーについてきてくれて本当にありがとうございました!」
深々と頭を下げる彼に割れんばかりの拍手が送られたのは言うまでもありません。ブロック全体があたたかな涙と笑顔に包まれました。そのあと、「藤井先生からお願いします」と言われましたが、私はもう言葉が見つかりませんでした。私は彼に、そしてそこにいた子どもたちにただ「素敵な思いをさせてくれてありがとう!感動をありがとう!君たちは本当に素晴らしい!」とだけ伝えました。
20年近く前のことなのですが、今も鮮明に覚えています。この子の言葉がいかに素晴らしかったか。日頃から誰よりも頑張っていた彼だからこその感動的な言葉です。聞いている人すべての人の心に深く届いたことはいうまでもありません。私は、この子の姿、言葉で、本当に涙が止まらなくなりました。そして、本当に凄い!本当に素晴らしい!なんて素敵な子なんだと思いました。
「皆さんは、ここにいるだけで価値があるんです!」…私たちが絶対に忘れてはいけない大切なことです。そのことを中学3年生に改めて教えてもらったと同時に、体育祭などの行事の意義こそがここにあるのだと思っています。競技をすれば順位はつきますが、最後は、一人一人の心の中に「素敵な宝物」ができるような体育祭にしなければと思います。
今年度も子どもたち、燃えています。特にリーダーたちの熱さは凄いです。きっと、心に残る感動的な体育祭にしてくれると心から期待しています!