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【5月12日】ロボットと人間

公開日
2025/05/12
更新日
2025/05/12

校長のひとりごと

 5月10日付、西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 大阪・関西万博のテーマの一つはロボットだ。あるパビリオンは約30体を並べて未来を表現する。障害物を避けて自走する移動型もある。別のパビリオンでは介護の担い手と期待されるタイプを展示する。遠隔操作する人と同じように手を動かす。

 1970年の大阪万博でもロボットは注目を集めた。フジパン・ロボット館は楽器演奏、海底開発、子育てなど、さまざまに活動する41体を披露した。プロデューサーを務めたのは漫画家の手塚治虫。

「この館のロボットは電気仕掛けのカラクリ人形のようなものです。しかしロボットは子供たちの夢。それを少しでもかなえさせたい、そう思った。でも人間と同じ姿で、人間の仕事をやってくれるロボットが実現できたら便利だけど、それでは人間の世界が味気なくなる」。

 当時のサンケイ新聞に語った。同館ではロボットがロボットを量産する未来をイメージした展示もあった。そこにはこんな言葉が書かれていたそうだ。

「それは今のあなたです」。

 難解な問いである。人間は誰もが誰かに使われる存在に過ぎず、ロボットが人間に取って代わる世界であなたもロボットに使われる存在、という警鐘か。

 半世紀を経て、ロボットはカラクリ人形の水準を超えた。話し相手になる物もある。便利な一方、頼り過ぎるとロボットに文明を譲ることにならないか。手塚の予見に現実が近づいているかもしれない。


 先月の報道で、中国の首都・北京で、人間のランナーと一緒に2足歩行の人型ロボットが走るハーフマラソン大会が開かれました。主催者によると、人型ロボットが走るマラソン大会は世界で初めてで、国を挙げて開発に力を入れるロボット技術をアピールしていました。人型ロボット開発においては、アメリカに対して中国が猛追しているとも報道されていました。実際、人型ロボットを開発する会社の数でいうと、2024年6月時点で、アメリカが世界の19%に対し、中国は37%とおよそ2倍になっているとのことでした。ロボットの頭脳となる「AI」の開発も進み、手や足の動きを中国独自のAIに学ばせることで、人に代わってさまざまな仕事を担うことができると期待されているようです。

 各国が、人材不足や人手不足などの社会問題の解決に向かうためにも、人の仕事を代わって行うロボット、人の役に立つロボットの開発を進めているとのことでした。しかし一方で懸念されることとして、「ロボットは平和利用ができる反面、そうではない使い方もできてしまう。AIやロボットの使い方にどのような制限をかけるべきか、両者の間で話し合いが必要になってきている」との見解を示される方もたくさんおられます。

 信じられないほどのスピードで、AIやロボットなどの技術は進歩しています。少し前までは想像や空想の世界だったようなものが、どんどんと現実のものとなっています。私たちがそれらとどう向き合うか、どう活用するか、世界中で考えていく時代であることに間違いありません。


※でも…感受性豊かで、素直で真っ直ぐな子どもたちを見ていると、やっぱり「人間っていいな」って思います。体育祭まであと5日…。最後の最後まで頑張れ子どもたち!!

(※写真は本日の校歌練習のときの様子です)


[ひとりごと 第1013号]