学校日記

【11月5日】目に見えない大切なもの

公開日
2020/11/05
更新日
2020/11/05

Kのつぶやき

 昨日、御陵中の職員トイレに掲示している「心が変われば」の言葉についてお伝えしました。実は、2年前にもう一枚掲示したものがあります。

『心』
見えないところに気づく 優しい心を持ちたい
見えないところに気づく 広い心を持ちたい
見えないところに気づき その人を思い浮かべたら
そっと心の中でつぶやく・・・
「いつもありがとうございます」
そんな温かで繊細な心を持ちたい

 この拙(つたな)い詩は、どこの誰の詩かはほとんど誰も知りません。というのも、作ったのは、恥ずかしながら私だからです。拙い詩で申し訳ないのですが、この詩はある方のことを思いながら作った詩です。これは、御陵中に2年前から一緒に勤めさせていただいている用務員の「境 廣幸」さんのことを思い、感謝の気持ちを込めて作ったものです。
 私が御陵中に教頭として赴任し、初めて境さんと出会った日から、私は何度もその姿勢や仕事ぶりに感動させられました。朝は、正式な勤務時間のはるか前の6時前に来られ、鍵を開け、様々なところの掃除と片付けをされます。私が出勤すると、正対し姿勢を正して挨拶をされます。一日中、決められた仕事をきちんとされるのはもちろんのこと、様々なところに気を配り、自ら進んで仕事をしていただいています。共に御陵中に来たばかりでわからないこともたくさんありましたが、境さんは「教頭先生、ここの物はもう処分してもよろしいでしょうか?」と、不燃物置き場の投げ捨てられたような大量のゴミを数日かけて処分してくださったり、荷物が溢れる倉庫を片付けてくださったり、壊れたところがあれば真っ先に直してくださったり・・・職員がお願いごとをすれば笑顔で「わかりました!」と、自分のことはさておいて速やかに対応してくださいました。男子職員トイレも、黙々と毎日きれいにしてくれました。そんなときふと、綺麗なトイレを毎日使えるのは、境さんのお陰であることを改めて感じたのです。掃除をしてもらうことが当たり前であるかのように意識もせず使い、当たり前のように汚している自分を反省したのでした。そして、先生方にもそのことを知ってほしい、考えてほしいと思いながら掲示したのです。相田みつをさんの詩にもあります。

『見えないところで』
 トンネルとか大きな橋などの開通式の様子がテレビで放映されることがあります。地元のおえら方がずらりと並んでその中央に、担当大臣とか、自治体の長とかが出てきて、華やかにテープカットします。そして、感謝状や表彰状が関係団体の長に贈られます。 炎天下の中でつるはしを持ち全身で汗を流した人々は陰にかくれてしまって、ほとんど表に出ないのが常です。カッコいい役は汗水流さない人たちが独占してしまうものです。
 誰にも見えないところで、一生陽(ひ)の目を見ずに、黙々と自分の役割を果たしている無名の人々の尊さのわかる眼をもちたいものです。どんなものにでも、一番大事なところは表面に出ないものですから・・・

 人は、表面的なことばかりに意識がいくことがあります。しかし、目の前に見えているものの裏にあるもの、「目に見えないもの」にこそ本当に大切なことが隠されていることが多々あります。目の前の素晴らしいものの裏で、よりよくしようと汗を流し、地道に役割を果たされている方のことを察し行動できるような、そんな「心」を持たなければと私は思います。