【11月9日】共感
- 公開日
- 2020/11/09
- 更新日
- 2020/11/09
Kのつぶやき
今朝も、黙々と校門前を掃除してくれる生徒会役員の生き生きとした姿を見ながら心があたたかくなりました。「ありがとう!」と言うと、「いえ、(どういたしまして)」と笑顔で頭を下げる子どもたち・・・本当に素敵な子どもたちです。
「読書の秋」でもあるので、先日また10冊ほど本を買い込みました。昨夜も途中で読むことをやめられなくなり、読み終えたときは夜中になっていました。昨夜読んだ本は、「2020年本屋大賞−翻訳小説部門−第1位」のソン・ウォンピョン著の『アーモンド』という小説です。
翻訳された矢島暁子さんの言葉を借りるなら、
『扁桃体(アーモンドと呼ばれる)が生まれつき小さく感情を感じられず他人の感情もわからない主人公ユンジェと、物心もつかないうちに親とはぐれて不良少年となったゴニ、この二人の少年の成長物語。それぞれの理由で、クラスの仲間からも社会からも浮いた存在だった彼らが、様々な出来事を経験し、失ったものを取り戻しながら成長していく過程が、ユンジェの視線で淡々と語られている。この物語は、ユンジェの視線を通して「共感」と「愛」について問いかけている。自分に直接関係のないことであれば、「感じても行動しない、共感すると言いながら簡単に忘れていく」ことへの問題。私たちの社会で起きている様々な問題の多くが「共感」の欠如であるとも言われる。本物の「共感」ができる力を取り戻すため、私たちは著者が提示する「愛」について改めて深く考えてみる必要があるのではないか・・・』
この小説は、構想から完成までに3年以上かかったそうです。著者は最後にこう語っています。
『私は社会的な問題について積極的に立ち上がったり行動したりするタイプではない。ただ私の心に浮かび上がった物語を、文章にしてくみ上げただけだ。この小説によって、社会の中で傷ついた人たちに、特にまだ多くの可能性が開かれている子どもたちに差し出される手が多くなればと思う。大きすぎる願いかもしれないけれど、それでも願う。子どもたちは愛を切望すると同時に、誰よりも多くの愛をくれる存在だ。あなたもかつてはそうだったと思う・・・』
読み終えたときに、またしても何とも言えない気持ちになりました。上に出てきた「共感」や「愛」だけでなく、「友情」「心」「感情」「個性」「優しさ」「にんげん」「生きる」・・・たくさんのキーワードが浮かび、様々なことを考えさせられる小説でした。
いつもたくさんの優しさや感動、そして幸せをくれる子どもたちに、私たち大人は精一杯の「愛」を注ぎながら、これからも子どもたちと共に成長していかなければと思います。私は、子どもたちの笑顔が溢れ、子どもたちが夢をもって毎日を生き生きと生活できるように、子ども達に「共感」し、寄り添い、支援していきたいと思います。
それにしても、心に残る一冊でした・・・