【3月11日】感謝の伝わる卒業式を・・・
- 公開日
- 2021/03/11
- 更新日
- 2021/03/11
Kのつぶやき
宮城県気仙沼市立階上(はしかみ)中学校の10年前の卒業生、梶原裕太さんの「答辞」です。
本日は、未曾有の大震災の傷も癒えない最中、わたくしたちの為に卒業式を挙行していただきありがとうございます。
ちょうど、十日前の3月12日、春を思わせる暖かな日でした。わたくしたちは、そのキラキラ光る日差しの中を、希望に胸を膨らませ、通いなれたこの学舎を、57名揃って巣立つはずでした。
前日の11日。一足早く渡された、思い出のたくさん詰まったアルバムを開き、十数時間後の卒業式に、思いを馳せた友もいたことでしょう。「東日本大震災」と名づけられる、天変地異が起こるとも知らずに・・・
階上中学校といえば「防災教育」といわれ、内外から高く評価され、十分な訓練もしていたわたくしたちでした。しかし、自然の猛威の前には、人間の力はあまりにも無力で、わたくしたちから大切なものを、容赦なく奪っていきました。天が与えた試練というには、むごすぎるものでした。辛くて、悔しくてたまりません。
時計の針は、14時46分を指したままです。でも、時は確実に流れています。生かされた者として、顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません。命の重さを知るには、大きすぎる代償でした。
しかし、苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていく事が、これからの、わたくしたちの使命です。わたくしたちは今、それぞれの新しい人生の一歩を踏み出します。どこにいても、何をしていようとも、この地で、仲間と共有した時を忘れず、宝物として生きていきます。
後輩の皆さん、階上中学校で過ごす「あたりまえ」に思える日々や友達が、いかに貴重なものかを考え、いとおしんで過ごして下さい。
先生方、親身の御指導、ありがとうございました。先生方が、いかにわたくしたちを思って下さっていたか、今になってよく分かります。
地域の皆さん、これまで様々な御支援をいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。
お父さん、お母さん、家族の皆さん、これからわたくしたちが歩んでいく姿を見守っていて下さい。必ず、よき社会人になります。
わたくしは、この階上中学校の生徒でいられたことを誇りに思います。
最後に、本当に、本当に、ありがとうございました。
平成23年3月22日 第64回卒業生代表 梶原 裕太
東日本大震災からちょうど10年の今日を迎えました。今月、各地で卒業式が行われています。本校も明日、第38回の卒業証書授与式となります。梶原さんの言葉を読むだけで、命の重さを知ることができます。生きていることが、どれだけ尊いことかがわかります。コロナ禍で縮小という形であっても、卒業式を迎えられることが、どれだけ有り難いことかがわかります。
私たちは決して、東日本大震災のことを風化させてはいけません。忘れてはいけません。生きている者としての使命があります。今日は、それぞれの場所で、それぞれの方法で追悼し、改めて命を大切にし、人々が協力し、明るい未来を創っていく決意をしなければなりません。
御陵中では、東日本大震災から10年に際し、中学2年生作文「語り継ぐ〜震災とふるさとへの思いから」を図書視聴覚委員長の田尻碧衣さんに朝の放送の時間に読んでもらい、全員で黙祷を捧げました。
明日は、命あることの素晴らしさ、そして、保護者の方をはじめ多くの方への感謝が伝わる卒業式にしたいと思います。3年生保護者の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
(※写真は、朝の放送のあとに3年担任が話している様子です)