【5月24日】好堅樹
- 公開日
- 2021/05/24
- 更新日
- 2021/05/24
Kのつぶやき
昨日、ラグビー日本一を決める日本選手権を兼ねたトップリーグ決勝の試合が行われ、福岡県出身の福岡堅樹選手(28歳)が所属するパナソニックがサントリーに勝ち、日本選手権6度目の制覇をしました。医師を目指すために引退を表明していた福岡選手は、この試合で現役生活を終えることになります。本日の西日本新聞に福岡選手について載っていましたので、抜粋します。
念願だった医師への道を歩むため、今季限りで現役を退く元日本代表の福岡堅樹(福岡県古賀市出身)が有終の美を飾った。日本一に輝いたサントリーとの決勝でトライを挙げた希代のスピードスターは「挫折」さえも「力」に変えてきた。
福岡高で花園に出場。競技人生に終止符を打つつもりだったが、医学部受験を2度失敗。「ラグビーをやれる時間は限られている」と筑波大で競技に集中し、社会人で受験勉強を本格的に再開。日本代表合宿でも続け、今年2月に順天堂大医学部に合格した。個人的に印象深いのが6年前に宮崎であった日本代表合宿。2015年のワールドカップイングランド大会で指揮を執ったエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(現イングランド監督)に体力配分を考え、全力を出し切らない姿勢をとがめられた。
「要領だけではこなせない領域にきた。本当に苦しかった」
合理性や効率を追究し、結果を残してきた自らの生き方を完全否定された。「正直辞めたいな、今ここで逃げ出したら楽だろうなと」。取材は勘弁−。常に「模範解答」をくれる彼からそんな空気を感じたのは初めてだった。自分が目指すべきゴールはどこなのか。そのために何をすべきなのか。常に限界まで力を出し切るスタイルに変貌を遂げ、当落線上だった15年W杯の日本代表に滑り込んだ。本番は出場1試合の「不完全燃焼」に終わったが、この経験は4年後へとつながった。19年W杯日本大会での活躍は記憶に新しい。そして、医師を志すトップアスリートという生き方も示した。
浄土真宗の書物にある想像上の樹木「好堅樹(こうけんじゅ)」。地中で何百年も力を蓄え、いったん地上に出ると1日で高さ百丈(約300m)の勢いで伸び続けるという。名前の由来通り、「堅樹」は新たなステージでも爆発的な成長を続けるだろう。
福岡選手は「辞めたい、逃げ出したい」という気持ちを乗り越え、常に全力で努力してきたことがわかります。だからこそ、あれだけの活躍をされたのだと思います。今春の順天堂大学入学後は、車でチーム拠点の群馬県太田市と東京都内を往復3〜4時間かけて授業に通い、午後の練習に駆けつける日もあったそうです。試合後のインタビューでは、チームメートをはじめこれまで支えてくれた人たちへの感謝の言葉を述べられていました。そして、「患者さんの人生に向き合い、心に寄り添えるようなドクターになれるように」と話されていたそうです。まだまだ十分にトッププレーヤーとして活躍できる福岡選手の引退を惜しむ声は多いですが、自分の決めた決断こそが一番正しい選択だと思います。
福岡選手の「志」の高さ、誰にも負けない努力、常にさわやかで相手を気遣う人間性、何より感謝の気持ちを忘れない姿勢は本当に素晴らしいと思います。それを象徴する言葉をパナソニックのロビー・ディーンズ監督が次のように述べています。
「彼のような才能は本当に類(たぐい)まれで、ラグビー選手としてとても素晴らしく、人としても本当に素晴らしい。堅樹はこれで引退するが、彼が遺(のこ)したレガシー(遺産・伝統)は、チームとともに、ラグビーとともにあり続けると思う」
福岡堅樹選手、『福岡の誇り、日本の誇り』です。