学校日記

【9月8日】“ありがとう”が溢れるように

公開日
2021/09/08
更新日
2021/09/08

つぶやき

 日本教育新聞という新聞があるのですが、その中のコラム「不易流行」から載せます。

 複雑な思いを抱きながら東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をテレビ観戦した。熱戦を終えた選手たちは口々に「感謝」の言葉を述べた。コロナ禍という不安な状況、ハードな練習やモチベーションの維持などいろんな思いが交錯したことだろう。また、残念ながら結果を出せなかった選手たちの振り返るような言葉にも人間性が出ていた。一方、SNSでの誹謗中傷に苦しめられた選手が少なくないという。書き込みは瞬時に拡散する。SNSは便利な反面、デジタル入力の特性や匿名性の高さから、吟味しないまま発せられる言葉や不確かな情報もあり、現代社会の危うさを感じる。言葉は「力」にも「刃(やいば)」にもなり得る。文科省の調査では、いじめの態様「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」は高い割合だ。子どもたちの世界でもスマホやタブレットは生活必需品になりつつある。言葉の持つ「力と刃」について、もっと具体的に指導する必要がある。言葉は、その人の心のありようの表れだ。全国各地から猛暑の東京に駆けつけ、黙々と警備をはじめもろもろの役割を担った方々に贈る言葉は「お疲れさま」「ありがとう」だ。海外の選手たちもたくさんの「ARIGATO」をSNSに投稿している。あたたかな言葉が交わされる共生社会をつくるため、歩(あゆみ)を進めたい。

 今年5月のひとりごとにも「ことばの力」というタイトルで書かせていただきましたが、言葉の持つ「力」は本当にすごいと私は思います。言葉によって、勇気をもらって前に進むことができたり、困難を乗り越えたり、時には、人生を大きく変えるような言葉もあります。一方で、「刃(やいば)」となる言葉によって、心を深く傷つけられ、命までも奪うこともあります。私たちは、もっともっと「言葉」というものをこんなにも便利になった時代だからこそ大切にしないといけないのだろうと思います。
 そのためにも、感謝する気持ちを持ち、それを言葉にする。「感謝します」「ありがとう」「お疲れさま」・・・そんな言葉にしていくことが大事なのだと思います。以前紹介しましたが、野口嘉則さんの著書『心眼力』の中の「感謝力」についてもう一度載せると・・・

『感謝力とは、今ある幸せに気づき感謝する能力。感謝力の高い人は、平凡な日常であっても、辛いことや困難なことに出会っても、それによって成長できることに喜びを見いだし感謝することができる。つまり、感謝力の高い人にとっては、毎日がありがたいことだらけである。感謝の極意は、当たり前のことを「ありがたい」と感謝すること。「ありがたい」とは、漢字では「有り難い」と書き、「あることがむずかしい、めったにない」という意味。当たり前だと思っていたことを、「有り難い奇跡だ」ととらえなおしたときに、感謝の気持ちが湧いてくる。私たちは、有り難い奇跡に囲まれている。このことに気づく能力が感謝力であり、それによって私たちは本当の幸せを今ここに見いだすことができる・・・』

 コロナ禍、制限や制約の中、多くの人がストレスを抱え苦しい中だからこそ、「一人一人を大切にする気持ち」「感謝する気持ち」を持ち、「ありがとう」と言葉にすることが大切なのだと思います。「刃」ではなく、「生きる“力”」「希望の“力”」となる「ありがとう」をはじめとする素敵な「言葉」で、学校、社会、世界があふれるようにしたいものです。