学校日記

【10月27日】ひとりごと

公開日
2021/10/27
更新日
2021/10/27

Kのつぶやき

 昨日300回目のひとりごと、そしてまた少しずつ頑張りますと言った私…
 様々な仕事をしていると、時々本当にやる気がしないことがあります。「ダメだダメだ、こんなことでは…。しっかりしろ!」と自分に言い聞かせる。そしてまた仕事に向かおうとする。しかし・・・
 こんなとき、よく頭に浮かぶフレーズ(名言)がある。相田みつをさんの言葉
『つまづいたっていいじゃないか、にんげんだもの…』
 その言葉が浮かんできて、「そうそう、人間だからやる気が出ないときもあるよな」って自分を納得させている。相田みつをさんの言葉を、私が担任をしているとき、学級通信によく使わせていただきました。

 私は、学級担任を23回させていただきました。壮絶な1年目のスタートでしたが、すべてのクラスが思い出深く、忘れられない素敵な思い出がたくさんあります。以前どこかでお伝えしたと思いますが、担任をしているときは、毎年「学級通信」を発行していました。きっかけは、1年目の生徒会役員選挙のあとに私のクラスで起きたことがきっかけでした。
 私のクラスから1年生生徒会役員として立候補した男の子がいました。毎日が生徒指導でクラスもうまくいかず苦しんでいた私をいつも助けてくれる正義感の強いまっすぐな生徒でした。しかしながら、彼は落選しました。
 私は、彼を励まそうと教室に行ったところ、彼が泣きじゃくっていたのです。落選して悔しかったのだろうと私は思ったのですが、どうも様子が違います。泣きじゃくる彼に聞くと、なんと次のようなことが私の知らない間に起きていたのです。
 当時、開票のさせ方も教員側に問題があったと思いますが、その開票作業にあたったうちのクラスの選挙管理委員の生徒が、票数を友達に漏らしたのです。しかも、票数は立候補者のうち最下位…。それを聞いたクラスの友達が、あろうことか、立候補したその生徒に「最下位おめでとう!」とか、笑いながら「惜しかったね」とか言ったというのです。応援してくれてたはずのクラスの友達からの言葉に彼は深く傷つき、泣いていたのです。
 教師1年目の私は、どのように指導することが正しかったかはわかりませんが、とにかくからかった生徒を叱りました。何て言ったかは覚えていません。ただ私は悔しいやら悲しいやら腹が立つやらで、支離滅裂で泣きながら子どもたちに話したことだけは記憶にあります。
 その日も夜遅く家に帰り、バタバタと食事などを済ませ、寝ようとしましたが眠れませんでした。泣きじゃくっていた彼の顔を思い出し、眠れないのです。担任として私自身がダメだからこんな悲しい出来事が起きた。そのこともすごく悔しくて自分が情けなくて、布団にくるまりながら泣きました。しばらく泣いた後、私は起き上がりました。机の前に座り、紙を取り出し、鉛筆を持ちました。自分のモヤモヤとした気持ち、担任として情けない気持ちや悔しい気持ち、人を傷つけることの醜さ、頑張ることの素晴らしさ、そのことを認めることの素晴らしさ、そして、何があっても私はクラスのみんなが大切だと思う気持ち…きっと字も汚く、本当に支離滅裂の文章だったと思います。それでも、子どもたちに伝えたい。少しでもわかってほしい。私自身がしっかりと反省をしながら、全員で考えていくべき問題であると。そして、せっかくの奇跡の出会いの中で、様々なことはあっても、それを乗り越え素敵なクラスにしていこうと…そんなことを書き連ねました。それが私の教師人生初の学級通信でした。
 それから毎年毎年、子どもたちの生活ノートや班ノートなどに書かれている思い、そして私の思いや考えを通信に載せました。保護者の方にも返信をいただき、またそれを通信に載せ、子ども、保護者、そして担任の思いをつなぎながら学級づくりをしてきたように思います。子どもって素晴らしいです。私なんかがとても書けないような素晴らしい言葉を書いてきたり、素敵な感性で物事を見たりして、いつも私は子どもたちに助けられ元気をもらってきました。
 時には保護者の方から「先生、学級通信いつもありがとうございます。全部ファイルにとじていますよ」とか、「学級の様子や子どもの様子、そして先生の思いがわかって本当に有り難いです。家ではほとんど話してくれませんが、この通信のおかげで、子ども達の成長がわかります。そして自分の子どもを見直したりします。この通信は宝物です」などと言っていただくこともありました。そういうことをモチベーションにして、続けることができたと思います。
 ちなみに33年前、私の教師人生初の学級通信のタイトルは「先生のひとりごと」でした。今は、「校長のひとりごと」…あまり成長していませんね(^_^;)