【11月5日】どう歩くか?
- 公開日
- 2021/11/05
- 更新日
- 2021/11/05
Kのつぶやき
今日午後は、3年生の第2回進路説明会でした。3年生にとっては、いよいよ中学卒業後の進路先を決定していく時期となりました。この説明会を受け、進路希望調査を提出し、今月末からの三者面談にのぞみます。ほとんどの子どもたちが進学希望であり、初めての受験となります。不安な気持ちになったり、学習に行き詰まることもあったりしますが、粘り強く頑張ってほしいと思っています。
第1回の進路説明会の私の挨拶では、私の教え子でバスケット部だった子の話をしました。ある公立高校を目指し、当初の成績では合格が大変難しい状況の中、塾にも行かず、日々の授業と家庭学習に粘り強く取り組んで見事合格した話をさせていただきました。今でも覚えているのですが、その子が言った
「私は、どうしても○○高校に行きたいんです。でも今の成績では絶対に無理だとわかっています。母親は塾にいってもいいよって言ってくれたのですが、毎日遅くまで私たち姉妹のために働いてくれる母にお金の面でも負担をかけたくないんです。だから、塾には行かず、自分で勉強して合格したいんです。でも、数学は特に苦手で…。これからもたくさん質問に来ていいですか?」
そして、その子は、本当に粘り強くあきらめずに毎日頑張りました。おかげで、誰もが驚くくらい成績が向上し、そして見事、志望校に合格を果たしたました。合格発表の日、涙を流しながら報告とお礼に来てくれたあの姿を忘れることはできません。
一方、努力すればすべての子が第1志望校に合格するわけではありません。
私が3年生のときに担任したある子どもは、体育祭リーダー、合唱リーダーなどを務め、いつも誰にでも優しく、クラスのためにとても貢献してくれた子でした。もちろん、授業中の態度もよく、意欲的で成績もたいへん優秀でした。第1志望の公立高校には、絶対合格するであろうと、私は内心思っていました。しかし、結果は残念なものとなり、第2志望の私立高校に進学することになりました。公立高校合格発表の日の夕方、彼はお母様とともに来校しました。彼の目はずいぶん泣いたのか、赤くなっていました。そして、声を詰まらせながらも「先生、今まで本当にありがとうございました…これから高校でも頑張ります…」と深々と頭を下げ、お礼を言ってくれたのです。もちろん、お母様も同様に…。不合格になって相当ショックを受けているその日に、わざわざ学校に来る子はほとんどいません。ましてや、お母様まで来てくださるなんて。私は、その親子の姿勢に感動しました。むしろ私の方が、その子にもずいぶん感謝をしていました。
「これまで本当にありがとう。そして、本当によく頑張ったね!人生はこれからだから。高校はゴールではなくスタートなのだから…。君みたいに素晴らしい人なら、もっともっと伸びると思うし、これからも応援してるよ。わざわざ来てくれて本当にありがとう!」。
お母様も隣で泣かれていました。この子が高校でまた頑張ったことは言うまでもありません。
「十五の春」という言葉がありますが、子どもたちにとっては、大きな選択であり、試練であるかもしれません。当然、将来のことを考えながら、周りにも相談し、最終的には自分自身で進路先を決定していかなければなりません。私たち周りの大人は、子どもたちの希望を叶えてあげられるように精一杯応援したいと思います。しかし、先ほど述べたように、頑張れば全員が希望を叶えられるわけではありません。それよりも、まずは置かれた場所で「どう頑張るか」の方がはるかに大切なことだと思います。人生は、まだまだ続いていくのです。社会に出れば「○○高校出身」なんていうことはちっぽけなことです。それよりも「何ができるのか?」「何を学んだのか?」「何を身につけているのか?」「人としてどうなのか?」が大きいと思います。
御陵中の子どもたちには、まずはしっかり考え選択する。そしてその目標を達成できるように精一杯努力する。結果がどうであっても受け止め、また努力する。それが大切なのだと思います。最後に、3年生の子どもたちに、私が若いときにある研修会で聞いた言葉を贈ります。
『どのような道を選んだかで一生の価値が決まるわけではない。たとえそれが、第二、第三希望の道であってもその道をどう歩いたかで人間の価値が決まる。自分自身の努力のあとが、大きな広い道として続くようなそんな生き方をしたいものである』