【11月29日】探究心
- 公開日
- 2021/11/29
- 更新日
- 2021/11/29
Kのつぶやき
11月28日付西日本新聞の特集「なぜ、学ぶのか」という欄に、政治学者の中島岳志さんの文章が載っていました。
それによると、中学時代の中島さんは、分数ができず、塾では一番下のクラスだった。あるとき、先輩とけんかし、殴ってしまう。そのときに担任の先生から「暴力はだめだ、言葉で伝えないと。ちゃんと勉強しなさい」と言われる。そして、その先生が顧問の「社会科部」に入部し、古墳マニアになった。その中で原稿用紙200枚ほどのレポートを書くなど積極的に活動したとのこと。その頃のことを振り返りながら、こう書かれています。
この時も「答えがないことを学ぶのは面白い」と思いました。なぜ前方後円墳や土偶はあんな形か。文字がないから今も分からない。想像するしかない。ぼくは分からないってことに興奮した。学校の勉強は答えがある。でも、その先の本当の学びには答えがない。テストで点をとる勉強は次の勉強の土台です。今も大学生に「小中高と大学の勉強の違いは教師が答えを知らないこと」とよく言います。
なぜ、学ぶのか。人間は必ず死ぬし、あらゆるものには終わりがある。能力には限りがあり、全部を知ることはできない。だから、分からないことを知りたいと探究心を持つのが人間です。
勉強は役に立つのか。医学や法律学は役立つ。ただ、人生に絶望したとき、法律では救われない。でも、美術の教科書に載っていたオランダの画家、ゴッホの絵は何か心に響くかもしれない。どこで何が役立つか分からない。そのために自分の幅を広げるのが勉強です。…(後略)…
私も中島さんの言われる「自分の幅を広げるのが勉強」「本当の学びには答えがない。どこで役立つか分からない」という言葉に共感します。中学生の時期、「こんな勉強したって…」と私も含めて多くの人が思ったことだと思います。しかし、その学びが直接必要になることもあれば、その学びによって自分の適性や興味がわかったり、会話の幅や人間としての幅が広がることも往々にしてあります。逆に大人になって、もっと勉強しておけばと思うこともたくさんあります。何より、予測困難な未来をたくましく生き抜くためにも、今こそ多様な「学び方」を学び、様々な知識と知恵をもっておくことはとても大切なことだと思います。「正解」はわからない(もしくは、ない)けれども、課題解決のための「最適解」を見つけていく力が必要な時代です。そのためにも、私たちは「探究心」を持って、学び続けていくことが大切だと思います。