【1月31日】糸
- 公開日
- 2022/01/31
- 更新日
- 2022/01/31
Kのつぶやき
今日も西日本新聞の「春秋」からです。
小学生の頃、糸電話はどれくらいの距離まで聞こえるか試した。行程の端と端、たこ糸をぴんと張り、紙コップから声が聞こえた瞬間、友達と歓声を上げた。世界を飛び交うさまざまな情報は、今も「糸」がつないでいる。海底火山の噴火と津波に襲われた南太平洋の島国トンガ。発生から2週間が過ぎても通信網は本格復旧せず、詳しい島の様子はいまだ伝わってこない。隣国フィジーにつながる海底ケーブルが地滑りで切断され、衛星電話に頼る状況が続いているためだ。私たちがスマホで簡単に海外から入手するインターネットのデータは、ほぼ全てが海底ケーブルで運ばれる。海のケーブルの世界地図を見て驚いた。その数400本以上。総延長130万キロ、地球30周分だという。1850年、世界初の海底ケーブルが英仏のドーバー海峡に敷かれた。通信に成功した直後、漁船の底引き網に切断されてしまった。漁師は金色に光るケーブルを新種の海藻と勘違いし持ち帰ったとか。日本では71年、長崎−上海と長崎−ウラジオストクの間に敷設(ふせつ)された。長崎には「国際電話発祥の地」の碑がある。今、最先端の海底ケーブルは日米欧3社で世界シェアの9割を占め、国産は北九州市にある工場で製造をしている。光ファイバーを束ねた現代の「糸」はデータがびゅんびゅん行き交う高速道路。直径約2センチ、水道ホースのような糸が深海8千メートルで世界を結ぶ。
インターネットで「海底ケーブル 世界地図」で検索すると、張り巡らされたケーブルを見ることができます。インターネットに欠かせない海底の通信ケーブルの歴史は古く、最古のものは170年の歴史があり、寿命は約25年。光の速さ(およそ秒速30 万キロ)の99.7%で通信できる海底ケーブルは、衛星通信よりも速く、大陸間の情報交換のスタンダード。しかしながら、有線ゆえにサメに噛まれたり、建築用のブルドーザーの誤作動などで時々破損するそうです。ケーブルの破損には民間の会社が365日船で待機しており、いざトラブルがあれば24時間以内に出向する。1回の工事期間は3週間から7週間ほど。多いときには年間十数回出向することもある。したがって、乗組員は陸にいるより海にいるほうが長いそうです。
私たちは、そんなこともよく知らずに、便利なインターネット等を当たり前のように使っています。便利さの裏側にたくさんの方々の努力や懸命な仕事があることに感謝しつつ使いたいものです。
私は「糸」と聞くと、私は中島みゆきさんの曲を思い出します。いろいろな方がカバーされており、映画やCMでもおなじみの曲です。
♪なぜめぐり逢うのかを 私たちは何も知らない
いつ めぐり逢うのかを 私たちはいつも知らない
どこにいたの 生きてきたの 遠い空の下 ふたつの物語
縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない
なぜ生きてゆくのかを 迷った日の跡のささくれ
夢追いかけ走って ころんだ日の跡のささくれ
こんな糸が なんになるの 心許なくて ふるえてた風の中
縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない
縦の糸はあなた 横の糸は私 逢うべき糸に 出逢えることを
人は仕合わせと呼びます♪
とてもしみじみと心に響く曲です。一時期よく聴きましたし、よく歌ったりもしました。
最後の詞はなぜ「幸せ」ではなく「仕合わせ」なのかと思い、「仕合わせ」を調べてみたことがあります。すると、こんなことが書かれていました。
「しあわせ」の語源は「し合わす」だと言われている。「し」は動詞の「する」の連用形[国文法の活用形の一種]。つまり、2つの動作などが「合う」こと、それが「しあわせ」である。別の言葉で言い換えると「めぐり合わせ」に近いのでは…。自分が置かれている状況に、たまたま別の状況が重なって生じること、それが「しあわせ」だった。
人間にとっての出逢いというものが、たまたまであれ、運命であれ、その出逢いを大切にしたいと思います。そして何より、コロナ禍で「マスクをして距離をとって…」と言われても、目には見えない心の「糸」だけは決して切れないようにしたいものです。