【2月2日】私たち大人が…
- 公開日
- 2022/02/02
- 更新日
- 2022/02/02
つぶやき
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さて、プロ野球界では、最近選手よりも目立っている監督さんがいます。そう、北海道日本ハムファイターズの新庄剛志さんです。福岡市の中学校から西日本短期大学附属高校、そして阪神タイガーズへ入団。その後、メジャーへの移籍、さらに日本ハムファイターズに移籍後、引退しました。近年では、バリ島で暮らしつつ47歳でプロ野球界への現役復帰を目指しチャレンジするなどとても話題になっていました。昨年10月に監督へ就任することとなり、そのファッションや言動が大きく注目されています。新庄さんが、尊敬し感謝しているのが阪神タイガース在籍時代の監督である野村克也さんです。野村さんは、新庄さんのことを「肩も強い、足も速い、守備もすごい天才」「もっと、努力すれば長島茂雄もきっと超えた」そして「宇宙人」などと評しながらも、彼を上手に育てられたのです。『野村の教え』という著書に、「人間学なくして若い人の成長は見込めない」というところがあります(※一部抜粋します)。
プロ野球選手というのはまさに特殊な人間だ。一説によると、東大に合格するよりも難しいというのだから、まさに選ばれし者だけが踏み入ることのできる世界といえよう。…だからこそ、私は若いうちから非常識な人間になってもらいたくないと、強く心に思っていた。
プロ野球選手の現役時代は20代から30代半ばくらいで、大選手といわれる一部のごく限られた者だけが、なんとか40過ぎまでやれるというような世界だ。一般社会で30代半ばといえば、脂の乗った時期で、会社内でそれなりに評価され始める頃でもある。そんなときに「はい、お疲れさん」と言われて引退を余儀なくされるのだから、第二の人生をどう歩むべきかが分からず、途方に暮れてしまう者だって現れる。プロ野球選手になるということは、一般社会以上にシビアな世界に身を投じるというわけだ。だからこそ、私は選手たちに人間学を施した。プロ野球選手ともなれば、ミーティングの時間は野球の技術や戦術の話にできる限りの時間を費やしたいところだ。けれども、私はそれと同等か、もしくはそれ以上に人間形成、人格形成に力を注いだ。人としての基本である「挨拶」を筆頭に、感謝する気持ちを持つことや、一般常識を習得すること、また野球以外の知識を得ていく必要性も説いてきた。そのひとつとして、新聞や本を読むことを勧めた。新聞は世の中の動向が理解できるようになるし、本は今まで知らなかったことを発見することだってできる。プロ野球選手ということで、普段の生活では知り合うことのないような企業のトップや文化人と知り合う機会だって時としてある。そんなときに世間に疎(うと)く、野球以外の話の一つもできないようでは、「この人の考えは浅いな」と相手から思われてしまう。私はそうした人間にしたくなかった。…(中略)…人間的な成長がなければ、野球の技術的向上もあり得ないのだ。努力し続けなければ、プロでは通用しない。だからこそ、若い人を成長させるには人間学が必要だということを私は確信をもって言える。
これは、「若い人」というくくりだけでなく、子どもたちはもちろん私たち大人も含めたすべての人にあてはまるものだと私は思っています。私は若いときに疎(おろそ)かしていた新聞を読むことや読書などを意識的にするようになりました。それでもまったく足りません。いかに自分自身の知らないことが多く、わかっていない自分がいることかと思い知らされます。本当に「一生勉強」だと思っています。野村さんのおっしゃった人間学、すなわち「人間力」を鍛え、成長させることがすべてのことにつながっていると、歳を重ねるごとに私は感じています。本校の教育目標「自律貢献〜志をもち、やり抜く力と豊かな人間性を身につけ、地域・社会に貢献できる生徒の育成〜」もまさに「人間力」向上の目標であることに変わりはありません。そのためにも、私たち大人が、単なる知識を増やすことだけでなく、感性豊かに、人として大切なことを身につけ、学び続ける人でありたいと思います。