学校日記

【2月8日】スポーツの素晴らしさ

公開日
2022/02/08
更新日
2022/02/08

つぶやき

 今日も北京五輪のことです。昨夜私は、スキージャンプ混合団体を見ていました。10チームの男女2人ずつが2回のジャンプを飛んでその合計得点を争うというものです。
 日本1人目は高梨沙羅選手。高梨選手といえば、スキージャンプのワールドカップで、男女を通じて歴代最多の61勝、歴代最多の表彰台110回を誇るスキージャンパーです。中学生の時にはすでに結果も出し、活躍していた高梨選手。海外遠征も多いことから、高等学校は競技に集中できるように、そして語学(英語)が役に立つと考え、自分のペースで学習を進められる「インターナショナルスクール」に入学しました。インターナショナルスクールは各種学校扱いで、日本の高等学校を卒業したことになりません。それで、高梨沙羅さんは、インターナショナルスクールに入学して、たった5ヶ月程で、高等学校卒業程度認定試験に合格しました。つまり、5ヶ月で高校3年間の勉強をしたのです。その期間、高梨選手は「一日11時間」勉強していたという話です。しかも、大学はいわゆる「飛び級」の17歳で入学しました。いわば無類の努力家です。
 そんな高梨選手、17歳で出場したソチ五輪では金メダル候補筆頭と期待された中の4位。次の平昌五輪では3位。そして今回は4位。涙を流しながら気持ちを切り替え、昨日の混合団体で結果を出そうと臨みました。そして、1回目のジャンプは103.0メートルのビッグジャンプ。喜びもつかの間、その後スーツの規定違反で何と失格となったのです(すなわち、日本の1回目は「0」ポイント)。「失格」を告げられた高梨選手は、座り込み号泣している様子がテレビ画面に映し出されていました。高梨選手の気持ちを思うと、私までショックで胸が痛くなりました…個人戦で使用したものと同じスーツだったそうですが、寒さによる筋肉の萎縮か、太もものパンプアップが不十分だったのか…原因はよくわかっていません。昨日は5人の女子選手が失格となる中で、各国の選手やスタッフから「測定の仕方がおかしかった」「十分な説明もなかった」などの報道もあっていました。
 しかし、そんな中でも2回目を飛ぶことができるぎりぎりの8位で次に臨みました。ネットニュースにはこう書かれています。

 スタートゲートに入った高梨の目は、ゴーグルの奥で涙でうるんでいた。飛び出すと、空中で踏ん張り、98.5メートルで着地した。直後、もう涙が止まらない。両手で口を押さえ、しゃがみ込んだ。1回目のスーツ規定違反による失格後、憔悴(しょうすい)。チームメートへ謝罪の言葉を繰り返した。「大丈夫だよ」という仲間の声掛けに最終的に「最後まで飛びます」と、自ら2回目も飛ぶことを決意。涙のラストジャンプとなった。
 責任を感じた。スタッフに支えられながら歩き、立っているのもやっとの状態だった。日本チームの横川朝治ヘッドコーチは「選手は僕らの用意したスーツを着てそのまま飛ぶので。僕らスタッフのチェックミスです」と話した。5日女子個人戦と同じスーツを着用していた。だが、この日は失格となった。大会期間中、体重をキープするのは難しい。スーツは体のサイズにルール内でギリギリ合わせて作られている。わずかな体重の変化でも規定より大きいとみなされる。さらに会場は標高約1600メートルに位置する。氷点下約15度の極寒で筋肉も萎縮する。「寒さが厳しかった分、うまくパンプアップ(トレーニングによる一時的筋肉増大)できなかった」と同ヘッドコーチは分析した。ドイツほか他チームにも失格者が続出の波乱の試合となった。日本は8位で2回目に進出。とてもジャンプを飛べるような状態ではなかったという。それでも高梨はルール内のスーツに着替え、気持ちを立て直して飛んだ。日本は4位まで上がった。
「やっぱり高梨じゃないとできないと思う」と同ヘッドコーチもたたえた。3度目の五輪は涙で幕を閉じた。仲間を信じ、自分を信じて、ベストを尽くす−。北京の夜空に描いた軌跡はメダルだけがスポーツの素晴らしさではないことを、物語った。

 私は、高梨選手は本当に素晴らしいと思います。あのような状況の中、2回目をしっかりと飛び結果を出す。何度も何度も謝っている様子がテレビ画面に映っていましたが、誰も高梨選手を責める人なんていません。むしろ、そんな逆境の中でもあきらめず、結果を出す高梨選手を心から尊敬するし誇りに思います。高梨選手は、各国の選手や記者からもその姿勢や人間性を尊敬され慕われています。優勝したスロベニアの女子選手が、高梨選手を抱きしめ額を合わせ励ましている様子も写っていました。最後の試技で106.0メートルの大ジャンプをした小林陵侑選手は、
「(8位から4位に巻き返し)みんな、凄い。2本目は沙羅も良いジャンプをしてたし、本当に強いなと。(高梨を)たくさんハグしてあげました」
 と語っていました。ポーランドのある記者はこう言っています。
「沙羅は世界的に歴史に残る偉大なスキージャンパーの1人。彼女こそ五輪チャンピオンです。本当に彼女がチャンピオンです」
 努力と感謝を忘れず常に目標高く頑張り続ける高梨選手に心から「お疲れ様、そして感動をありがとう!」と心から拍手を送りたいと思います。そして、高梨選手を支え、最後まであきらめず共に頑張った佐藤幸椰選手、伊藤有希選手、小林陵侑選手にも心から感謝したいと思います。
 スポーツの素晴らしさ、人間の素晴らしさをまざまざと感じさせてくれた夜でした…