【6月1日】感性を磨く
- 公開日
- 2022/06/01
- 更新日
- 2022/06/01
つぶやき
私は教師になってあるときから“感性”を磨かなければ…大切にしなければと思うようになりました。感受性豊かな子どもたちと一緒に頑張っていくときに、“感じる力”“感じる心”をもたなければと思ったのです。だからこそ、自分自身が喜怒哀楽も含めて感情豊かに、そして小さな頑張りや気遣いなどに気づけるようになりたい…そう思いました。
SHOWKOさんという方の著書『感性のある人が習慣にしていること』という本の中に「感性があると、“人の気持ち”に気づける」というところがあります。
感性を身につけることは、自分に軸がないことに悩む人や、企画やデザインなどのクリエイティブ職につく方はもちろん、営業職の方、そしてもっと広く、日々の生き方に悩んでいる方々にもメリットがあります。
具体的には、感性を高めることで、人の本心が理解できるようになります。「人の本心が理解できる」とは、どういうことなのでしょうか。それは、相手が今どのように心遣いをしてくれているのかが理解できるようになるということです。
たとえば、真夏の暑い日に、知人の家に招かれたと想像してみましょう。玄関には花が飾ってあり、花びらは細かな水滴をたたえて瑞々(みずみず)しくみえます。花びらが自然に結露したのでしょうか。いえ、違います。あなたを少しでも美しい花で出迎えるため、ホストが花を用意し、あなたの到着の少し前に、花びらに霧吹きしたからです。居間に通されると、お菓子が運ばれてきます。それは波頭のようなカタチの美しい寒天のお菓子でした。夏の暑い日に、涼を感じることができるでしょう。それはおそらく、ホストが今日の来訪のためにわざわざ用意してくれたものです。お手ふきも、常温ではなく冷やされており、さらに気持ちよく感じるでしょう。相手の気持ちになってその場を読み解くと、自分をもてなすためにどれだけ心を砕いてくれたのか、その本心を感じ取ることができるのです。
そこに気づいて感謝の気持ちを伝えると、「言わなかったけど、伝わっていたんだ」と、喜んでくれるでしょう。
それは何よりもの、ホストへの「感謝の意」です。それに「自分のためにここまでしてくれた」と感じられると、自分自身もとても嬉しくなりますよね。…(中略)…
状況を観察し、相手の気持ちを想像できる「感性」を持ち得ていると、そんな小さな心遣いや、そこに込められた意図にまで気づくことができます。それはゆくゆく、良質な対人関係をつくり、人からの信頼を得ることにもつながるでしょう。
いかがでしょうか?
気づく目、気づく心、そしてその気遣いに感謝する気持ち…そんなこと長けている人は、人として信頼され、慕われる人だと思います。やはり“相手意識”なのだと思います。それと同時に、そういった気遣いや気配りに対して感動したり感謝したりできる…これがとても大切だと思います。正面からだけでなく、後ろからも横からも上からも下からも見ることができる力も必要かもしれません。もちろん、人の本心がすべてわかるわけではないと思います。しかし、わかろうとする、そして少しでも気づいて、言葉にしたり行動したり…
私が以前担任していた子で、どちらかというとおとなしい子がいました。仮にAちゃんとしましょう。ある日の放課後、私が教室の棚を何気なく見ると、中に入っていた子どもたちのファイルがどれも、出席番号順にきれいに並んでいました。教室に残っていた数人に
「ファイルがきれいに並んでいて気持ちがいいね」
と私が言うと、彼女たちがこういうのです。
「うちの棚はいつもきれいですよ!だってAちゃんが、いつもきれいに並べて帰ってくれてるんですよ」
私はびっくりしました。それに気づかなかった自分が恥ずかしくなりました。自分の気づく目、気づく感性の鈍さを反省しました。次の日の朝の会で、みんなにそのことを紹介しました。照れくさそうにしていたAちゃんですが、終わって「先生、褒めてくださってありがとうございました!これからも少しでもみんなの役に立てるよう頑張ります!」と笑顔で言ってくれました。その後、私のクラスでは帰りに自主的に机を並べて帰ってくれたり、進んで仕事を引き受けたりする子がどんどん増えていきました。Aちゃんのおかげでした。
Aちゃんは褒めてもらおうと思ってしたわけではないと思います。小さなことにも気づく感性をもっていたのだと思います。だからクラスのみんなが口々に「Aちゃん、めちゃめちゃ優しくて、気遣いすごくて…大好き!」と言っていたのだと思います。
相手の心を察する感性、小さなことにも気づく感性…そんな感性を私も磨いていきたいと思います。