【10月4日】合唱力を高めるには…
- 公開日
- 2022/10/04
- 更新日
- 2022/10/04
Kのつぶやき
校内に、子どもたちの合唱の声が響いています。3年ぶりの合唱練習です。すべての子どもたちにとって、中学校での初めての合唱の取組です。歌い始めたものの、まだまだ思うようにいかないことがたくさんあるはずです。まずは、声が出ない、出せない、出していない壁にぶつかるでしょう。コロナ禍、声をあまり出さないことを推奨してきました。歌うことの楽しさをあまり知らずにきた子どもたちもいるでしょう。何より、友だちと心を合わせ、響きを大切にして合唱することの楽しさや喜びを知ることなくここまできていると思います。また、個人練習が不十分で歌詞を覚えていない、音程がとれない。そうであれば当然歌えません。子どもたち一人一人が、クラスの一員としての自覚をもち、個人練習を積みながら進めていくしかありません。声をかけあい励まし合い、気持ちを高め、取り組んでいってほしいと思います。10月21日、創立40周年記念文化祭の合唱コンクールで、各クラスの素敵な合唱が聴けることを楽しみにしています。
さて、東京の杉並学院高校の合唱部顧問である渕上貴美子さんが、「合唱力を高めるポイント」というものを書かれています。その一部を抜粋します。
合唱力を高めていくポイントは、まず「自分」を知ることが大切だと思います。誰かの美しい声に憧れてそこに自分の声をダブらせたり、ないものねだりするのではなく、自分の、今あるがままの声をきちんと見つめること。
それと、合唱はたくさんの人数でやっていくものなので、相手の喜んでいる姿を見て、自分にも喜びを感じられるような感性が必要だと思います。…人と比較して自分の能力のなさを嘆くのではなく、相手のいいところを見つけて真似ていったり、輝いている人を見て「素敵だなぁ!」と、きちんと心から思えること。そんなふうに、素直になることが合唱にはすごく大切だと感じています。
もう一つは、人の心が読める、あるいは感じられる、ということです。昨年、合唱部の中で、二人の生徒のお父さんが、病気で急に亡くなられました。美しい歌を歌っていても、その子の心の中は悲しみでいっぱいだったかもしれないし、悲しい歌を歌ったら、胸が張り裂けそうなほど苦しかったかもしれません。
そんなことを自分なりに心で感じながら、共に歌に思いを乗せていけるということが、すごく大切ではないかと思います。それがうまくできる年はいい歌が歌えます。音大にたくさん生徒が入る年もありますが、そういう年に、全国大会に行けなかったことがあります。どんなに一人ずつのレベルが高くても合唱ではいい結果が出るとは限りません。
相手のいろいろな思いを読み、感じられるようになれば、どんなに声がハスキーだろうが、多少音程がはずれていようが、皆の思いが一つに揃って心が清められていきます。そこが合唱のおもしろい、一人ではできない素晴らしいことろではないかと思います。
今、御陵中の子どもたちが取り組んでいる合唱と、全国大会常連校である合唱部の合唱では目指しているものが違うかもしれません。しかし、「合唱」を通して学ぶこと、そして素敵な合唱にするためには、「感性」が大事であり、相手の思いを察したり、誰かのために頑張ろうとしたりすることによって、素敵な合唱になっていくことには変わりはないと私は思います。
学級担任をしているとき、スタートは、学年の中でも一番歌わない、やる気がないクラスであっても、様々な教師の働きかけ、リーダーをはじめとする子どもたちの頑張りによって、どんどんとよくなっていきます。うまくいかなくて揉めることもありますが、それをみんなで乗り越えていくことによって、クラスとしての力がついていきます。合唱の面白さは、頑張った分だけ必ず上手になっていくことです。心が変わっていくことで、合唱が変わっていくのです。高まっていくと、本番のステージでは、聴いている人すべてを感動させるような一体感のある合唱になります。(9月28日のひとりごとにも載せましたが)歌い終えてステージを降りるときには、自分たちの歌に感動し、目に涙をいっぱいためている子がいます。涙を流している子がいます。そのときにはもう、“賞”は関係ありません(担任としては余計に金賞を取らせたくはなりますが…)。クラスみんながそんな思いになれば、それは“金賞”以上の価値があります。
コロナ前とは違うこともありますが、その中でできることを子どもたちとともに考え精いっぱい取り組んでいきたいと思います。