学校日記

【10月18日】磨き続ける

公開日
2022/10/18
更新日
2022/10/18

Kのつぶやき

 創立40周年記念文化祭まであと3日となりました。コロナの影響は心配されますが、これまでの子どもたちの頑張りを無にしないためにも、実施できるよう最善を尽くしていきたいと思います。保護者の皆様のご理解とご協力をどうぞ、よろしくお願いします。

 ところで、少し前になりますが10月初旬にテレビで「世界卓球2022」があっていました。団体戦なのですが、日本チームの結果は、女子が準優勝、男子が3位でした。日本選手の素晴らしいプレーに感動しながら見ていました。しかし、男女ともに負けた相手は「中国」でした。卓球と言えば中国が最強であることは皆さん、ご存じかと思います。なぜ、あんなに卓球で中国が強いのか?ということについて、元卓球女子日本代表監督の近藤欽司さんという方が書かれたものがありました。

 なぜそんなに強いのかと研究していますが、そのヒントとなることわざがあるんです。最初に「人無我有」と書いて、人にないものが自分には有る、つまり他の人にはない技術や戦術を持つ、ということです。でも、時間が経てば、それまで自分しか持っていなかったものが真似をされてしまうので、「人無」ではなく「人有」になって自分の技が通用しなくなってしまう。そこで今度は「人有我高」、つまりその技をどんどん高めていく。さらに相手も同じように高めてきたら我は磨く「人高我磨」、そしてさらに人が磨けば自分は新しい技を創り出す。つまり「人磨我創」。要は新しい技を創り出すという意味で、これが中国の戦いにおける必勝のことわざなんです。
 中国と戦う上では技を磨くだけでなく、それまでにない新しいものを持って挑まなければ勝つことはできません。勝負の世界は勝つか負けるかしかないわけで、卓球には引き分けはありません。僕は長いこと高校生を指導してきましたけど、よい結果を出すためには「一剣を持して起つ」、つまり相手チームより一歩先の練習を心がけてきました。そしてナショナルチームの監督になると、日本代表の選手をとにかく勝たせなければいけない。では、どうしたら勝てるかと言えば、こちらは世界大会に向けて、新しい技術を密かに準備する。例えば、福原愛選手が次の世界大会までにどのような戦術で臨むかは大事なテーマでしたけど、一度使ってしまったことは、手品の種明かしと一緒で次は通用しません。中国の場合、国内にコピー選手をつくるんです。つまり福原愛なら福原愛のコピー、平野美宇なら平野美宇のコピーといった具合に、同じような戦い方をする選手をつくった上で、その対策を練ってくる。なんせ中国には指導者と選手のプロが三万人はいますから、そういったことも可能なんです。日本には三十人くらいしかプロはいませんから土台からして違う。ですから、たとえ一つの大会で勝ったとしても、次の大会ではニュー福原、ニュー平野を持っていかなければ勝てない。…(後略)…

 卓球の指導者とプロ選手が3万人もいるということに私は驚きました。人口14億の中国だからということもあるでしょうが、卓球人口も8,500万人いるそうです。そういえば…と思い出すことがあります。
 実は、私は久留米市にある高校に通っていたのですが、高校2年生のときに高校生のバレーボールを通した友好親善ための選手に選ばれ、10日間ほど中国に行く機会をいただきました。現地では、世界遺産である万里の長城をはじめ、様々な観光地や学校や施設などを訪問しました。その中で、ある施設に行くと、たくさんの子が卓球に熱心に取り組んでいました。中には、卓球台から頭が見えないくらい小さな子もいました。小学生にもなっていないと思われるその子でしたが、とんでもなく上手でした。こんなに小さい時から「卓球漬け」なのだから、中国は強いはずだと思ったものでした。
 しかし、それからずいぶんと時が経ち、日本卓球界も様々な強化が図られ、結果も出て、日本でもずいぶんとメジャーなスポーツになりました。2018年には、「Tリーグ」が発足し、さらに強化が進んでいます。直近の東京五輪では、混合ダブルスで水谷準選手・伊藤美誠選手が中国ペアを破り「金メダル」を獲得しました。そして、今回の世界卓球でも張本智和選手が、準決勝であたった中国選手に大接戦の末、2勝をあげました。確実に日本選手のレベルが上がり、中国のトップ選手に並び追い越そうとしています。中国のことわざのような「人磨我創」で、自分自身を磨き続け、さらに創造し続けているからこそだと思います。
 卓球に限ったことではなく、やはり、目標をもち自分自身を磨き続けること、そして互いに切磋琢磨し取り組んでいくことはとても大切なことだと感じました。これからの日本卓球界も、さらに楽しみです。ちなみに小学生当時、実家に父親の知り合いの方から中古の卓球台をいただき、卓球部の姉と家で卓球をしていたせいか、卓球をするのも大好きな私です。