学校日記

【12月8日】まっすぐに向き合う

公開日
2022/12/08
更新日
2022/12/08

Kのつぶやき

 昨日夕方のニュースに、ある小学校で講師の方を呼んで、子どもたちに手作りのロケットを作らせ飛ばしている映像が写っていました。これはもしや…と思って見ていたら、やはり植松努さんの映像が出てきました。植松さんの「“どうせ無理”をなくしたい。子どもたちに夢をもたせ、やればできることを伝えたい」ということを広めていらっしゃる方々で組織される団体の方ということでした。そのニュースを見ながら、つい先日、植松さんに「夢講座」に来ていただいたことを思いだし、何だか嬉しく、そして誇らしく思いました。

 さて、ずいぶん前に出された本ではありますが、ドロシー・ロー・ノルトさん(1924.1.12〜2005.11.6)の『10代の子どもが育つ魔法の言葉』の中にある「責任感を育てれば、子どもは自分で考えて行動できるようになる」の一部を紹介します。

 10代の子どもの本業は、ある意味で学ぶこと、勉強することではないかとわたしは思っています。そして子どもは、自分の親がどういうふうに生きているかを参考にして、「本業」への取り組み方を学ぶのではないでしょうか。
 人生には、親である私たちにも、いやなことがあります。迷いも生じます。成功することもありますし、ストレスにつぶされそうになることもあるでしょう。思わぬ出来事にびっくりしたりしながら、わたしたちは生き、働き続けるのです。子どもでも、同じです。ですから、時々はそんな話もしてあげましょう。わたしたち大人が思う以上に子どもにとってヒントになることも多いのです。仕事の話などもいいかもしれませんね。
 お母さんが15歳のジャニーンに言いました。
「来週、ママは、大切な仕事のプレゼンテーションがあるの。心配だわ。週末も仕事をしなくちゃならないわ」
「じゃあ、ダンス教室に送ってくれないの?」
自分のことで頭がいっぱいの年頃のジャニーンは言いました。
「それは大丈夫。ちゃんと送ってあげるから心配しないで」
お母さんはにっこりしました。一瞬ののち、ジャニーンははっとしました。
「ママが仕事で不安になるなんて、知らなかった」
お母さんはほほえみました。
「新しいことをする前は、ママだって不安になるわよ。誰だって、そんなときにはぴりぴりするでしょう」
「わたしが歴史のレポートを書いたときみたいに?ほら、クラスの前で発表しなきゃならなかったでしょ?」
「そうそう。そのときは不安そうだったわね。でも、あなたはよくやったわ」
「なら、ママも大丈夫よ」
「自分を信じて、できる限りのことをするだけよ。今までもそうやって乗り切ってたの」
 人生には困難や挑戦がつきものです。大人のわたしたちが、そんなときにどう立ち向かうか、子どもは見ています。見ながら、責任のとり方や自分の能力に対する自信を学んでいきます。もちろん、10代の子どもにとっていちばんの関心事は自分自身です。それでも親の姿を見て、何かに気がつき、学ぶことは少なくないです。

 子どもの前では絶対に弱みを見せないという方もおられるでしょう。しかし、大人もきついこと、苦しいこと、悲しいことがある。それでもそれを周りの人と支え合いながら乗り越えていくことの素晴らしさを共に考えていくことも大切なのだと思います。
 子どもが中学生、高校生…となっていけば、様々なことへの理解も深まります。「大人」の話もできるようになります。一方では“反抗期”も迎え、子育てが思うようにいかないと感じている方もおられるでしょう。
 私は親として反省することはたくさんあります。もちろん教師という立場で子どもたちと向き合ってきたなかでもたくさんの反省があります。ただ、特に若いときは子どもの前ではしっかりしたところを見せなければと思う自分もいましたが、あるときから、時には自分の弱さを見せることや子どもたちと同じ人間として、よりまっすぐに向き合うことの大切さを感じるようになりました。ですから、自分の思いを、自分の言葉でできるだけ素直に話すようになりました。その方が、子どもたちが共感してくれたような気がします。
 子どもでも大人でも苦しいこと、きついこと、不安なことなどたくさんあるけれど、それを乗り越え、粘り強く毎日を精一杯に生きていくことの大切さ、素晴らしさを感じてくれたらいいと思っています。誰かの役に立つ、誰かに必要とされることを感じられる毎日。もちろん、すべての人が必要とされるからこの世に生を受けたのです。私たち大人は、子どもたちからすれば、人生の先輩ではあるので助言したり支援したりすることはもちろん必要ですが、子どもたちの可能性を信じ、同じ人間としてまっすぐに向き合うことも大切にしなければと思います。