【1月18日】信じる
- 公開日
- 2023/01/18
- 更新日
- 2023/01/18
Kのつぶやき
小宮一慶さん著『松下幸之助パワーワード』に「基本的に人間は成長する。だから、あの人は昔ああだったとか非難してはならない」という松下さんの言葉についての解説があります。
幸之助さんは、人の成長を、心から信じておられました。だから人の性質を頭から決めてかからず、才能を伸ばし、優れた人材をたくさん育てられたのでしょう。普通の人は、人を見るとき、過去の行状[ぎょうじょう:常日頃の行い]とか業績ばかりを見てしまいがちですね。失敗していたり評価が低かったりしたら、かなり厳しい見方をします。幸之助さんを見習いたいものですね。
例えば大正末期の話。松下電器が創業して数年経ったときのことです。ある日、幸之助さんが工場に行くと、手伝いに来ていた若い職人が、旋盤を使って作業をしていました。その手際が非常にムダなく鮮やかで、工場の主人に「いい職人が入ったね」と褒めました。しかし主人は「あの男はダメです。うちの仕事のやり方に文句ばかり言っています」と答える。幸之助さんが、「自分の目からすると、あの男は相当できるように思うがね」と伝えると、主人は「いえ、あれには困っています。いっそのこと大将のほうで使ってもらえませんか」と言いました。幸之助さんは、その若い職人を松下電器に採用しました。すると、その職人はたちまち技術の才能を発揮して、いくつもの製品を開発し、のちに副社長・技術最高顧問にまで昇りつめました。
このエピソードが示しているように、自分にとっては都合が悪くても、うまく引き出せば非凡な才能を持っている人も少なくないのです。
例えばiPS細胞をつくりだした山中伸弥教授は若い頃、手先が不器用で、あまり社交的な性格でもなく、外科手術の現場では邪魔者扱いされていました。研究所では「じゃまなか」と呼ばれていたという話まで聞きます。それが、のちにノーベル賞を受賞する研究者になられたわけです。
人には無限の可能性があります。過去がダメでも可能性はあるのです。それは自分も同じです。人や自分のいいところを信じて、伸ばすことが大切です。まず、自分を信じることから始めてみる。自分を信じられない人は、なかなか他人も信じられないものです。
私は先日の「新入生入学説明会」でも、小学6年生の子どもたちに「不安に思う必要はありません。どんどんチャレンジして失敗してください。一歩踏み出してチャレンジして失敗したら、また改善してチャレンジすればいいんです。それが、自分自身の成長につながります。君たちには無限の可能性があります。やればできる!きっとできる!そんな気持ちで残りの小学校生活を送り、楽しみに中学校に入学してきてほしいと思います」というようなことを伝えました。人間の可能性なんて誰にもわかりません。それは自分自身も同じです。ですからやってみないとわからないのです。志をもって努力し続ければ、想像を超える成長やよい結果が待っているかもしれません。
人の評判やうわさを鵜呑みにせず、その人の可能性を信じ、きちんと向き合い、可能性を引き出せるような自分でありたいと、自分自身への戒めの言葉として、幸之助さんや小宮さんの言葉を受け止めたいと思います。