学校日記

【3月2日】プロ意識

公開日
2023/03/02
更新日
2023/03/02

Kのつぶやき

 今朝の西日本新聞『春秋』の文章を読んで、なんだかじーんとしました。

 アルファベットが一部欠けた店名の看板が気になった。「昭和の薫りがあって、そのままでいいかなと」。佐賀県伊万里市で「まやぐちパン」を営む山口吉浩さん(60)は3代目。祖父が戦後に学校給食用から起こし、陶器の街で市民の暮らしに寄り添ってきた。
 1月のある朝、喪服姿の女性が訪れ、つやつやしたコルネを手に取った。「弟が好きでした。今から葬儀ですが、ひつぎに入れさせてください」。頭を下げる姿に胸を締め付けられた。「人生の最後に一緒にいれられてパンも幸せです。頑張らんといかん、いいかげんなものは作れません」。視線を落とした先の、山口さんの手は赤く腫れ上がり、分厚かった。「継続は力ですから」。華美には走らない。三角カレーパン、あんドーナツ…添加物を使わない昔ながらのパンを手作りしている。筆者が話を伺う間も客足は絶えない。正午過ぎなのに、きれいに売り切れた。バタークリームを使った簡素なパンが名物だ。伊万里を離れた娘に頼まれて送る人や、盆と正月に家族連れで買い求めに来る人。不変の味に「故郷」を感じるのだろう。「変わっとらんねえ、の言葉が一番うれしい」。山口さんがうなづく。一日一日、一年一年…を繰り返す。手の厚みはきっと心の篤(あつ)さに通じている。真っ白なバタークリームを温かい食パンに塗り頬張った。口の中でまろやかに溶けた甘い味わいに、心の春を感じた。

 昔ながらの味を守り続けるパン職人、山口さんの素晴らしさ。様々な苦労や困難があっても、常にお客様のため、食べてくれる人のため、そんな思いとこだわりがいっぱいに詰まった美味しいパンなのだろうと容易に想像がつきます。弟さんが大好きだったパンを葬儀の前に買いに来てひつぎに入れたいと思わせるほどに愛されたパン屋さん。本当に素敵な話だなと思いますし、山口さんのような「プロ意識」「相手意識(お客様目線)」は、どんな仕事であったとしても大事にしなければと思います。
 私は若い頃、「記録に残る教師にならなくていい。子どもたちの記憶に残る教師になりたい…」と、調子に乗ってこんなことを偉そうに言ったことがありました。ただ、今も思うのは、「先生のクラスになったおかげで、頑張ることの素晴らしさや友だちと協力することの大切さを知りました」とか、「バレー部に入って、人として大切なことや大切にしなければならないことを学びました」などと言ってくれる子どもたちがいる。または、子どもたちが成長し大人になったときに、「こんなことを言ってくれた先生がいたな」「中学生のときはあまりわからなかったけど、大人になってあの先生のあのときの言葉の意味や真意がよくわかる」…などと少しでも思ってくれてたりすると、本当に嬉しく有り難いと思いますし、励みにもなります。
 やはり私たちは、どんな仕事であったとしても、その仕事に誇りをもって、こだわりをもって、何より相手意識をもって学び続け、努力し続けなければと思います。