【3月23日】人間性
- 公開日
- 2023/03/23
- 更新日
- 2023/03/23
Kのつぶやき
今朝の西日本新聞『春秋』からです。
言葉はいらない。野球のワールド・ベースボール・クラシックで念願の世界一に輝いた「侍」たちが発した笑顔のメッセージ。日本だけでなく世界の人々が受け取ったに違いない。
夢、挑戦、勇気、努力、そして野球とスポーツができる喜び…。ロシアのウクライナ侵攻から1年以上がたち、深まる世界の混迷と分断、新型コロナ禍による閉塞感(へいそくかん)といった厚い雲の隙間から、差し込む一筋の光のようだった。
二刀流で締めた大谷翔平選手、チームをまとめた最年長のダルビッシュ有投手、攻守で躍動したラーズ・ヌートバー外野手、苦しみ抜いた末に一発を放った村上宗隆内野手、俊足の周東佑京外野手。互いに認め合い、信頼の糸を紡ぎながら頂点に立った。多様性の尊重が求められる現代社会を象徴する歓喜の輪に見えた。
選手だけではない。冷静にタクトを振り続けた栗山英樹監督に「私の指導者像を完璧に崩された」とうなった人がいる。厳しい指導で知られた大相撲元関脇荒男で元阿武親方の手島広生さん。大リーグ組の参加を促した密な連絡など、選手に寄り添って導いた快挙に「時代が変わったと教わった」。スポーツ界をはじめ、かつての指導者は闘志を前面に、俺に付いてこいというタイプが多かった。時代とともに人も、社会も変わる。夢舞台から届いたメッセージを、私たち一人一人が実現していくことで「侍」への感謝としたい。
人として大切なメッセージを“野球”というスポーツを通して私たちに示してくれた栗山監督をはじめとする侍ジャパン。何度もひとりごとでつぶやきましたが、一流の選手たちの全力のプレーや姿は見る者すべてに勇気と元気を与えました。そして、あの素晴らしい選手を束ねた栗山英樹監督…栗山監督のことが「日陰の選手から名将に 磨いた人間力」というタイトルで記事になっていました。
野球日本代表「侍ジャパン」の栗山監督に、現役時代の華々しい実績はない。東京学芸大からテストを経て、ドラフト外で1984年にヤクルト入団。7年間のプロ生活でレギュラーに定着したのは1シーズンだけだ。異色の経歴で代表監督になった。“野球観”に大きく影響を与えたのが、引退後に務めたスポーツキャスターとしての活動。生粋の野球好きでプロはもちろん、アマチュアや米大リーグなど取材対象は多岐にわたった。
忘れられない言葉がある。メジャー通算324勝を挙げ、ノーヒットノーランを7度達成したノーラン・ライアン投手へのインタビュー。「大リーガーとそうでない選手との違いは?」と尋ねると、大投手は答えた。「人間性だ」
選手や監督という立場の前に、人としてどうあるべきか。「そういったもの(人間性)がないと、長い間頂点には立てないと言われた。そのことだけは大切にしなくては」。そう胸に刻んだ。
プロでコーチの経験を経ずに2012年から日本ハムの指揮を執り、在任期間は10年に及んだ。16年に日本一。大谷翔平だけでなく、グラウンド外での選手への気遣いや配慮を忘れず、信頼関係は強かった。「歴代最高」との呼び声高い侍ジャパンの選手集めは際だった。これまでに培った人脈に加え、人とのつながりを大事にし続けた栗山監督の人間力に負うところは大きい。3大会ぶりの栄冠には、「元名選手」にはできない経験が生きている。
栗山監督の人間性や人柄は、その表情や言葉からも溢れていました。また、栗山監督から「ダルビッシュ・ジャパン」と言わしめた、ダルビッシュ有選手のチームへの献身的な関わりやファンへの神対応、右手小指骨折後、涙を浮かべながら栗山監督に出場を直訴し、少しも痛みを見せずに抜群の守備や“繋ぎ”をした源田選手…様々な場面や裏話の中に、挙げればきりがないくらいの日本選手の“人間性”が光っていたように私は思います。今大会MVPの大谷選手はプレーの凄さはもちろんですが、何よりその“人間性”の素晴らしさは誰もが認めています。
人間性…人間力…。“侍ジャパン”の皆さんから、野球の素晴らしさとともに、人として大切なことを改めて教えていただきました。侍ジャパンの皆さん、本当に優勝おめでとうございました!そして、感動をありがとうございました!