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【10月10日】目先の…

公開日
2025/10/10
更新日
2025/10/10

校長のひとりごと

 今日は生徒会役員改選のための立会演説会及び投票でした。立候補した皆さんのやる気、勇気、そして本気にとても感銘を受けました。演説は、どの立候補者の子も推薦者の子も素晴らしかったです。みんなのため、学校のために精一杯頑張りたいという思いがひしひしと伝わってきました。中には、原稿をまったく見ないで堂々と演説している子もいました。相当練習してきたのだろうと、本当に感心しました。誰が役員になってもきっと、大野東中をもっともっとよくしてくれるだろうと期待できる演説会でした。それと同時に、感心したことがあります。

 立候補者・推薦者の演説が前半と後半に分かれていたのですが、前半の立候補者・推薦者の子どもたちがステージから降りて、自分のクラスに戻ろうとするとき、会の進行や運営をして3年生の選挙管理委員の子どもたちが、あたたかい拍手をしていました。素晴らしいし、優しいし、素敵な3年生だなぁと思いました。そして、後半の立候補者の子どもたちが登壇するときには、「がんばれ~」と声をかける3年生の子どもたち。さらに、立候補者・推薦者が降壇するときには、選挙管理委員の子どもたちの拍手を見た、全校生徒が自然と拍手をしていました。私は、大野東中の子どもたちはなんて優しいんだろう…と、胸がジーンとしました。素敵な子どもたちに感謝です。

 さて、今朝の西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 こぶだらけで枝の曲がった役立たずの大木を嘆く友に、荘子は静かに答える。なぜその木を何一つない荒野に植え、傍らに憩い、その下に寝そべらないのか。切り倒される恐れもない無用の大木を気に病む必要はない。

 中国の思想家荘子の「無用の用」は、役に立たないと見えるものにも実は大きな役割があるとの考え方だ。京都大名誉教授の中国文学者、興膳宏さん(福岡市出身)はかつて本誌に寄せた随筆でこの言葉を説き、記した。〈我々の生きる社会では、何かにつけて目先の有用性が求められる。もし人間が真の進歩を目ざすなら、もっと大きな視野の中での有用性をこそ追求すべきだろうに〉。

 無用の用を信じ、大きな視野で研究を続けてきた京都大特別教授の北川進さんがノーベル化学賞に決まった。役に立つはずがないと思われていた無数の穴を生かし、新材料を開発した業績が評価された。穴といえば欠点や損失、不完全と負のイメージが強いが、新材料は違う。天然ガスの貯蔵、自らの有機フッ素化合物(PFAS)除去…。いま人類が直面する加太の解決につながる可能性がある。

 荘子はこうも言った。〈大知は閑閑たり、小知は間間たり〉。優れた知恵を持つ者はゆったり落ち着き、つまらぬ知恵に惑わされる者はせわしない。目先の効率ばかりを追い求めていては、世界を変える発見はうまれないということなのだろう。


 「視野を広く持つ」「様々な視点で見つめ、考える」「見えないものを想像する」…そんなことが大事なのだろうと思います。目の前の見えることだけをとらえるのではなく、その裏にあるもの、見えていないものの中にこそ、真実が隠れていることがあります。また、○〇の世界ではこれが一般的と思われていることや自分の中での常識を時に疑うことも必要だということだろうし、非常に難しいとか不可能と思われるようなことにもチャレンジしていくことの大切さを教えてくれているのだと思います。さらに、目先だけの利益や結果だけを求めるのではなく、十年後、二十年後…という先を見通して取組をすすめることも、とても大切であるということだと思います。

私の母親が昔言っていた言葉

「起こることにはすべて意味がある。それがどんなに望まないことやイヤなことであったとしても、きっとこれからの自分の力になっていく…」

 そのことにも通じるところもあるのかなと私は思いました。そして、目に見えるものだけをとらえて判断したり、目先の利益やよさを求めてしまったりするところがまだまだある私の弱さを改めて感じました。


(ひとりごと第1091号)