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【10月9日】チャレンジ精神

公開日
2025/10/09
更新日
2025/10/09

校長のひとりごと

 昨日また、たいへん嬉しいニュースが飛び込んできました。先日のノーベル生理学・医学賞受賞の坂口志文さんに続き、何と「ノーベル化学賞」に京都大学特別教授の北川進さんが受賞したとのことでした。受賞理由は「金属有機構造体の開発」とのことでした。無数に開いた微小な穴に物質を出し入れできる新材料(多孔性材料)を作製し、二酸化炭素を回収する「夢の吸着材」など環境分野への応用が期待されています。

 今朝の西日本新聞の「解説」を引用すると…


 北川進京都大特別教授が開発した金属有機構造体は、微小な穴が無数に開いた「多孔性材料」の一種で、二酸化炭素の吸着や、次世代エネルギーとして注目される水素の貯蔵など、さまざまな応用が期待される。空気中に含まれる二酸化炭素を効率よく回収できれば地球温暖化対策の切り札になりそうだ。

 金属有機構造体は、金属イオンと有機化合物が交互に積み上がり、微細な穴が無数にあるジャングルジムのようになっている。用途に合わせて穴の大きさを自由に設計でき、狙ったものを回収できるのが革新的な点だ。不純物や化学物質を吸着する材料には活性炭(水質浄化や脱臭に使用)やゼオライト(鉱物の一種で水分子を吸着する、園芸などに使用)があるが、金属有機構造体のように穴の形状や大きさを精密に操作することは難しい。北川氏は研究で、見過ごされがちな骨格の間にできる「空間」に着目した。材料1グラム当たりサッカーコート1面に匹敵する表面積がある。気体など数種類が混ざっている状態から、目的のものだけを大量に吸着させて取り出せる。果物の鮮度保持に活用するなど、身近な生活に直結する実用例も出てきている。幅広い産業の発展に寄与する可能性があり、国内外の企業が実用化に向けた研究開発を進めている。生産コストの課題が残るが、解決できれば世界的な普及が見込まれそうだ。


 と記述されていました。専門的なことはわかりませんが、地球環境問題やエネルギー問題解決へ向けて、たいへん大きな研究・開発であったことかがわかります。

 北川さんは研究者として、荘子(中国の思想家)の言葉「無用の用」を大切にされてきました。「無用の用」とは、「一見役に立たないと思われているものが、実は重要な役割を果たしている」という意味です。

 北川さんは、研究者がほとんど注目してこなかった分子の「穴」に着目し、研究を粘り強く続けてこられました。多孔性材料を発表した当初は「おまえはうそつきだ」と言われたこともあったそうです。しかし、他の研究者からも同様の発表が続くと、一気に注目が集まりました。そして今回の「ノーベル賞受賞」。

 北川さんは、昨夜、子どもたちへ向けてこんなことをおっしゃっていました。

「ぜひ、面白いことに興味をもってチャレンジしてください。できないと思うようなことにもチャレンジすることが大事です」

 と。先日ノーベル賞を受賞された坂口さんにも北川さんが教えてくれていること…それは…

 一時的に批判されたとしても強い信念をもって続けること、失敗をポジティブに捉えチャレンジし続けること、その先にこそ、大きな成功があるということです。

 坂口さん、北川さん、本当におめでとうございました!!!


(ひとりごと第1090号)