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【10月30日】人の心を動かすもの

公開日
2025/10/30
更新日
2025/10/30

校長のひとりごと

 今朝の読売新聞のコラム『編集手帳』からです。


 「打つとみせかけてヒッティングだ」。長嶋茂雄さんの語録はたくさんあるが、英語にちなんだものも少なくない。漫才ブームのころ、ビートたけしさんに「テヘ漫才、いつも見てますよ」と声をかけた。番組名「THE MANNZAI」読みちがえたらしい。1961年、米ロサンゼルス(LA)を旅してこう語った。「こっちの子どもは英語がうまい」。

 LAの子どもたちが話題にしていたら、うれしい。ワールドシリーズ第3戦で山本由伸がすばらしい景色を見せた。延長十八回、ドジャースは救援投手を使い切っていた。すると完投勝利から中1日しかあいていない山本投手がブルペンに入り、球場にどよめきが起こった。自ら志願したという。サヨナラ弾を打ち、激闘に終止符を打ったフリーマン選手いわく「この男を登板させないために何とかしないといけないと思った」。1球も投げていないにもかかわらず、ヒーローのように仲間に囲まれる山本投手の姿があった。何かの縁だろうか。長嶋さんが亡くなった寂しい年に、長嶋さんが日本の人気スポーツに押しあげた野球が国内外で華を咲かせている。


 野球の本場で最高峰のプロリーグである米メジャーでこれだけ多くの日本人選手が活躍されていることに、同じ日本人として誇りに思います。大谷選手はもちろんのこと、コラムに出てくる山本投手も素晴らしい活躍です。そして今回注目されたのが、延長18回に投球練習を始めた山本投手のプロ意識と心意気だと思います。チームの勝利のためであれば疲れていようが、常識では投げることはないであろうと思えるような状況であってもベストを尽くす山本選手の強い思いがチームメイトすべての心を動かし、それがフリーマン選手のホームランへつながったのだと思います。そして、試合後、結果的には投げていない山本選手の周りにたくさんの選手が集まり、彼の思いや行動をたたえ喜んでいる姿に、多くの人が心を打たれたのだと思います。

 人はややもすると「できない理由」を探そうとします。「それは無理だ」とか「きっと難しい」と思って踏み出さないことが多々あります。しかし、失敗を恐れず、前を向いて自分のできる最善を尽くすこと、そして、その心意気や思いを感じる感性をもっているかどうかは、どんな世界であっても大切なことだと思います。

 誰かの強い思いや熱い思い、そして行動が、周りの人の心を動かし、それらの力が合わさって素晴らしい方向へと向かっていく…


[ひとりごと 第1104号]