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【11月19日】真贋

公開日
2025/11/19
更新日
2025/11/19

校長のひとりごと

 今朝の西日本新聞『デスク日記』の欄に次のようなことが載っていました。


 先日、本紙夕刊にも掲載された「ウミガメの子どもをくわえたタヌキ」の写真が生成人工知能(AI)で加工されていたそうだ。元画像よりタヌキが鮮明になり、くわえたカメの向きが変わっていたとして、配信した共同通信が写真を取り消す騒ぎになった。

 現場では、被写体が思い通りになることの方が少ない。「こっちを向いて」「あそこの電柱が邪魔」などと頭の中で悲鳴を上げながらシャッターを切るのが常。とはいえ、生成AIを使おうなんて思ったこともない。元々存在しないものが加えられたり、逆に消されたりした写真を読者に見せたいとは思わない。

 最新のスマートフォンのカメラには、拡大しすぎてぼけた写真をAIが補完、明瞭な画像を作る機種もあるとか。近年、現場に居合わせた人からの写真提供も増えた。もしその写真が加工されていたら…。そのうち、その真贋(しんがん:本物と偽物)を判別するAIが必要になるかもしれない。


 コロナ禍は、リモートワークなどの影響もありパソコンやタブレット等の需要が急激に増えたり、一部の企業が買い占めたりするなどして「世界的な半導体不足」になりました。そのおかげで、自動車産業にも大きな打撃を与え、自動車の生産ラインが停止する事態も起こりました。また、そのほかのゲーム機や白物家電等も品薄となり、価格高騰も続きました。その中で、膨大な半導体が必要な生成AIは、その中で開発が進んでいき、コロナ禍終盤に公開されたのが「ChatGPT」です。その登場により、世界中の企業が「生成AIが自社の業務や競争環境を根底から変える」との認識から、生成AIを積極的に導入したり、開発に乗り出したりしたのです。今では、多種多様な生成AIが登場し、その進化は凄まじいものがあります(私はよくわかっていませんが…(^^;))。

 スマホにも搭載され、手軽に生成AIを使えるようになりました。上手に活用すればたいへん便利で有用なものです。学校に出入りされているデジタル機器の会社の方が「私は、旅行好きなんですけど…。生成AIに自分の旅行の条件などを入れ、一覧表にして出してもらい、それを活用して旅行の計画や予約をするようにしています。本当に便利ですよ!」とおっしゃってました。生成AIに不勉強でアナログ的な私なのですが、生成AIは、「あいさつ文の校正を!」と指示すると的確なアドバイスをしてくれたり、いくつかの書類を読み込ませて「取組と課題に整理して!」と指示すれば、一瞬ですっきりと整理してくれたりします。もちろん、再度読み直して、細かいところの微調整や確認が必要ですが、本当に便利なすごい技術だと思います。

 最新の生成AIトレンドは「エージェント型AI」。これは、単なる指示への応答だけでなく、AIが自律的に計画を立て、行動し、問題を解決する能力を持っているそうです。たとえば、「〇〇について調査レポートを作成しなさい」というと、「〇〇についての情報収集」をし、「要約」し、「構成案、そして下書きを作成」するという作業を自動で実行するそうです。また、AIが自分で持っている知識や生成能力で完了できない複雑な作業の場合は、インターネット上の他のアプリケーションやサービス(外部ツール)を利用して自動的に目的を達成することもできるようになっています。この他にも、アートやデザイン、科学といった専門分野で、AIが人間の能力を超える、あるいは人間が思いつかないような成果を生み出したりしています。また、リアルタイムで日本語で話している人の「声と表情」はそのままに英語に翻訳して聞かせることができるとか、有名な漫画家〇〇さん風の漫画や動画を作成したり、小説家〇〇さん風の小説を書かせたりすることもできます。

 子どもたちは私なんかよりもはるかに、身近に、生成AIを使っているのではないかと思います。便利なものの裏には必ず、問題点やマイナスの影響もあります。正しく向き合い、適切に活用することが大事なのだと思います。子どもたちが「答えを出す機械」ではなく、「思考を深めるための道具」として活用できるよう、一緒に考えていきたいと思います。


[ひとりごと 第1117号]