【12月8日】秘訣
- 公開日
- 2025/12/08
- 更新日
- 2025/12/08
校長のひとりごと
人間学を学ぶ月刊誌『致知』の特集「拓く進む」には、ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文さんとノーベル化学賞を受賞した北川進さんのことが載っていました。一部抜粋させていただきます。
「拓く」とは開拓することである。「進む」とは続けることである。分野を問わず、未開の地を拓き進むことで人類は文化と文明を発展させてきた。…
共に人類の未来に画期的な仕事をしたお二人だが、そのお二人が一致して大事にしている言葉がある。「運・鈍・根」である。
北川さんは「運とは宝くじが当たるように神頼みするようなことではなく、真摯に学び、取り組むことで幸運に近づく」と教え子に伝えている。自らの体験を通して得た核心の言葉だろう。
坂口さんは「長く不運の研究人生を過ごした。普通の人ならやめていた」との他の人の評に「私はうどんのような(太い)神経、不運とは思わなかった」と語っている。与えられた環境をどう受け止めるかも運の大事な要素といえる。また坂口さんの座右名は「一つ一つ」だという。直面する一つ一つの問題・課題に誠実に向き合い、コツコツと解決していく。その姿勢を50年続けていったところに大輪の花が咲いたのである。
北川さんの座右名は「無用の用」(荘子)。人が役に立たないと振り向かないものの中に価値を見出し、その価値を拓くべく、50年歩み続けた姿は坂口さんの姿とぴたりと重なる。お二人は運鈍根の精神で、新しい科学技術の道を拓いた。拓いただけでなく、50年、その道を進み続けた。
拓くだけでは事は成らない。それを突き進んでいくことで、道は完成するのである。「拓く進」はあらゆる創造の原点である。
ノーベル賞を受賞されたお二人がこんな言葉を若い研究者に伝えているそうです。
「研究というのは99%が失敗です。でもその失敗をどう解釈するかで次の一歩が決まる」(坂口さん)
「幸運は準備された心に宿る」(北川さん)
常にしっかりとした準備や努力をすること。そしてチャレンジすること。たとえ失敗しても、そのことを糧にして、また努力をし、チャレンジし続けること。そうしていくことで「幸運」にも恵まれ、そのうちに素晴らしい成果や結果が出ることがある、ということをお二人は教えてくれているのだと思います。
このことは、どんな分野であろうと、どんな世界であろうと、「成功のための秘訣」、そして、「運を味方にする秘訣」なのだと思います。
(ひとりごと第1130号)