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【12月11日】子どもたちを守るために

公開日
2025/12/11
更新日
2025/12/11

校長のひとりごと

 オーストラリアでは16歳未満の「YouTube(ユーチューブ)」、「Instagram(インスタグラム)」、「X(エックス)」、「TikTok(ティックトック)」など10種類のSNS利用を禁止する法律が制定、施行されたというニュースが流れていました。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、インターネットを通じ、使用者同士が交流し、自分の考えや日常、写真、動画などの情報共有をしたり、コミュニケーションをとったりすることができるサービスです。「よさ」としては、友人・知人とのつながりはもちろんのこと、趣味や興味が共通する世界中の人と簡単につながることができること、自分の情報発信や他者の情報を共有したりできること、コミュニケーションツールとしてもたいへん便利なものです。

 一方で、様々な問題が出てきていることも事実です。オーストラリアでの法律で禁止にしたのは、以下のような深刻な問題があり、子どもたちの心身の健康と安全を守ることを考えたからとのことです。

■ メンタルヘルスへや体への悪影響

1 依存性・中毒性により、睡眠不足や学業不振、日常生活に支障をきたす。

2 SNSにより他者と自分を比較し、不安や劣等感を感じやすくなり、抑うつや不安症の増加につながっている。

3 ネットいじめや誹謗中傷が深刻化し、これがもとでの自殺や自傷行為につながっている。

■有害コンテンツ接触や犯罪への加担

1 暴力的なコンテンツ、わいせつな画像や動画など、子どもたちに悪影響を及ぼす情報に簡単にふれることによるリスク。

2 「知り合い」を装ったり、年齢や性別を偽るなどした大人との接触によって性犯罪や重大事件に巻き込まれる。 …等


 オーストラリアでの今回の法的措置は、「表現の自由」や「大切なコミュニケーションツール」などの観点からは賛否あることも事実です。また、昨日のニュースの中でも、登録時に年齢や国籍を変えたり、禁止になっても使用できる方法の動画がネット上にあがるなど、「抜け道」がありSNS利用を完全に制限することは困難です。それでもなお、オーストラリアが法的規制に踏み切ったのは「子どもの安全を守るための世界に先駆けた挑戦」だといわれています。SNSやスマホの利点以上に、子どもたちの心や体、命を脅かす問題があまりに大きくなり今回の措置に踏み切ったということです。

 さて、日本ではどうなのか?、実施の学校ではどうなのか?と聞かれれば、同じように課題がたくさんあります。学校においても、正しい使い方や向き合い方についての講演会をしたり、様々な学習をしたりしていますが、オーストラリアと同じような問題があることも事実です。その問題に先生方も日々向き合っています。相当な時間をとられることもあります。そして何より、子どもたち自身がそのトラブルによって心を傷めたり、日常生活に支障をきたしたりしていることもあります。

 法的措置はハードルが高いとしても、私たちは「自分事」として捉え、真剣に考え対応していく必要があります。子どもたちも今一度、自分自身の使い方、向き合い方を考えることが大切です。ぜひ、ご家庭でもこのことについて話し合っていただけたらと思います。


(ひとりごと第1133号)