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【3月6日】喜心

公開日
2026/03/06
更新日
2026/03/06

校長のひとりごと

 人間学を学ぶ月刊誌『致知』3月号に「感謝にまさる能力なし」という章があります。その一部を抜粋します。


 窮達は命なり。吉凶は人に出る…。

 ある先達の言葉である。人が困窮したり栄達に恵まれたりするのは運命だが、それを吉とするか凶とするかは、その人次第だ、ということである。困窮の中にいてもそのことによって運命を発展させる人がいるし、栄達の中にいてもそのことで運命を衰退させてしまう人もいるからである。そして、吉凶を分ける基になるものに、その人に感謝があるかどうかが大きく影響しているのではないかと思うのである。


 このページの後半には以前のひとりごとでも紹介した大橋ボクシングジム会長の大橋秀行氏のことが書かれています。


 大橋さんは、高校2年生でインターハイで優勝したが、3年生のときは連覇できなかった。大学の時はオリンピック最終選考でいつも勝っている相手に負けて出場できなかった。プロになってからもいきなり連勝したものの、大事な試合では負けてしまう。その理由を分析したところ、「負けるときはいつも監督とかジムの会長に対して不満を持っていた」ということでした。そしてこう語られています。

「勝ち続けていくとどうしてもうぬぼれが出てきて自分の力で強くなったと勘違いしてしまうんですね。だから“なんだよ、アイツ”とか“教え方が悪いんだよ”と周囲に不平不満が出てきたところで負けていることに気づいたんです。負けるのは周囲が悪いんじゃなくて自分が悪いんだと考えを改め、周りに対して感謝を持って接すると、やっぱり自分が変わっていきました」

 尊い教訓です。その後に文芸評論家・小林秀雄さんの言葉が紹介されています。


「困難な事態を試練と受け取るか災難と受け取るかが、個人の生活でも一生の分かれ道になる」


 困難や苦難を災難と受け取れば、不平不満、愚痴しか出てこない。果ては自暴自棄に陥る。そういう人の人生が充実発展するわけがない。むしろ坂道を転がるように悪くなっていく。逆に、この困難は自分という人間を鍛え成長させるために天が自分に与えてくれた試練だと感謝して受け止めていく。そこに運命を好転させる大事な鍵がある。


 最後に、道元の「仕事をする上で大事な三心」について書かれています。

1 喜心…感謝する心

2 老心…思いやる心

3 大心…豊かな心

 仕事をする上で大事な三心は、人生を生きる上でも大事な三心である。その最初に「感謝」があることを忘れまい。


 何度も「感謝する気持ち」「感謝力」「感謝は言葉にしてはじめて感謝となる」「感謝と返謝」…など感謝の気持ちの大切さは、多くの方が言われてきました。先日来校していただいた浦田理恵さんも「感謝」の気持ちをとても大切にされていました。その先に「金メダル」がありました。いろいろなひと、モノ、ことに感謝のできる人が困難を乗り越え、大きな成功や偉業を成し遂げられています。そして困難を乗り越えた人は強く、そして優しいと私は思います。

 当たり前を当たり前と思わず、感謝の気持ちをもつ。自分勝手に生きているのではなくて“おかげ”で「生かされている」という気持ちをもって、日々、一生懸命、大切に生きていきたいものです。


(ひとりごと第1180号)