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【3月23日】かさぶたが教えてくれること

公開日
2026/03/23
更新日
2026/03/23

校長のひとりごと

 3月16日付、日本教育新聞のコラム『不易流行』からです。


 車体に擦り傷がつくと、修理をしなければいつまでもそのままの状態だ。しかし、人の擦り傷は、かさぶたができて時間の経過とともに治癒する。かさぶたは、まだ傷口が癒えていないときに剝がそうとすると痛い。しかし、傷口が癒えると痛みも薄れ自然に剝がれる日がくる。

 よく考えてみると、治癒力とは実に不思議だ。人は心臓の鼓動、血液の循環、食べ物の消化などを自身の意思で行っていない。そして意識のない睡眠中ですら、それらは機能し続けている。身体は自身の意思とは関わりなく、生きるための平衡状態を保っている。

 玩具の「起き上がりこぼし」は、倒れても倒れても元の状態に戻る。底面が丸く、内部の低い位置に重りがあるため復元力が働く仕組みになっているからだ。人は挫折や人間関係などで、心が傷ついたり折れそうになったりすることがある。一人で抱えきれないときは、誰かに助けを求めることは大切だ。同時に、時間の経過とともに、かさぶたが自然に剥がれ落ちることや、重心が物体の低い位置で安定する性質の中には、自然の摂理が働いているようにも感じる。

 人の心の底には、大切にしたい思いがある。それがその人の「重り」なのだろう。自身の内にある治癒力と復元力を信じることが、その痛みに耐える希望となり、前へ進む原動力にもなり得るだろう。


 生きていく中で、「もうダメだ」と思うことは、誰にでもあると思います。私自身も、これまでにそう感じることがありました。「逃げ出したい」「やめてしまいたい」と思うこともありました。そんなとき、少し時間をおいて振り返ると、これまでたくさんの人に支えられてきたことに気づきます。

 当然、すぐに乗り越えられないこともあります。でも、悩みながらでも、立ち止まりながらでも、少しずつ前に進んできたからこそ、今があると思います。

 また、目の前には、大切な人がいます。守るべき子どもたち、守るべき人がいます。だからこそ、「また少し頑張ってみよう」と思えるのではないでしょうか。


 人にはそれぞれ、大切にしたい「思い」があります。そして、誰の中にも、ゆっくりでも回復していく力があると私は思っています。つらいときは、無理に頑張らなくても大丈夫です。誰かに頼りながら、自分のペースで進んでいけばいいのだと思います。


 今日という一日を大切にすること。自分のことも、周りの人のことも大切にすること。それができたとき、少しずつでも、心は前に進んでいくのではないでしょうか。


(ひとりごと第1191号)