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【3月11日】命の奇跡

公開日
2026/03/11
更新日
2026/03/11

校長のひとりごと

 今朝の読売新聞に東日本大震災15年の特集として「戻らぬあなたへ」という特集が組まれ、家族や友人を亡くされた方のメッセージが載っていましたのでいくつか紹介します。


■弟・伊藤律ちゃん(5歳)を亡くした兄・健人さん(32歳)より

 りっちゃん、生きていれば今年で20歳だったんだよ。俺は市役所で働いていて「20歳の集い」の運営を担当したんだけど、すっかり大人になったりっちゃんの同級生たちを見て胸がいっぱいになったよ。スーツ姿のりっちゃんの写真を撮って、焼き肉とか寿司とか、お祝いのご飯に連れていきたかったな。りっちゃんたちの世代は5歳の時に描いた将来の夢の絵を会場で展示していて、りっちゃんのもあったんだ。「プールのコーチ」という夢は意外だったけど、再会できたようでうれしかったよ。俺は去年、結婚して新しく家族ができて幸せに過ごしている。だからりっちゃんも天国で安心して過ごしてほしいな。でも、りっちゃんが遠くに引っ越してなかなか帰ってこないような感覚が消えないんだ。ずっと心の中で生き続けているんだよ、きっと。

■息子・三條泰寛さん(17歳)を亡くした母・すみゑさん(67歳)より

 バレーボールを続けられる会社への就職が決まって、別れた幼なじみと復縁するかもしれないから大事な時だったのに、何で津波から逃げ遅れてしまったの。代わりに私が死ねばよかったのにと、何度思ったことか。やすは3人兄弟の一番下だけど、生きていたら最初に件婚して、孫を見せてくれていたかな。穏やかな性格だったから、奥さんを支えるいい旦那さんになっていただろうね。お母さん、スーパーのレジ打ちのパートを辞めて、語り部の活動を頑張っているんだよ。震災の爪痕が残る沿岸部を見ずに市街地だけ見た観光客から「石巻、復興したね」と言われて、自分から話さなきゃ伝わらないなって思ったの。年を取ってしんどくなってきたけど、子どもたちにあの時の出来事と、自分の命を守るために必要なことを伝えるのが使命だと思って頑張るから見ていてね。

■母・高橋フサ子さん(62歳)を亡くした長男・勇樹さん(48歳)より

 店と家族のことばかり気にかけていた母さん。夜中に嵐が来た時は「商品がぬれるから」と店の床にしみ出た雨水を何時間も拭いていたね。最後まで楽させてあげられなくてごめん。あの日、用事で慌てて店を出る自分に「急ぐな」と声をかけてくれたね。それが最後になった。返事もせずに出たのを今も後悔している。いつも謙虚でにこやかだから、常連さんが多かったね。母さんに学んだ接客ができているか、これからも俺を見守ってほしい。

■父・遠藤成一さん(48歳)、祖父・方[はかる]さん(75歳)、祖母・カツ子さん(75歳)を亡くした長女・大堀紗友加さん(36歳)より

 感謝を伝えていればよかたと、ずっと後悔していた。ばあちゃんは、会うたびに「おっきくなったなあ」って言ってくれて玄関で出迎えてくれた。じいちゃんがいっぱい釣ってきてくれた旬のお魚を、ばあちゃんがおいしく料理してくれて。テーブルいっぱいに並べてみんなで食べるのが幸せだった。パパはやりたいことは何でもやらせてくれた。急に「星空を見たい」って言った時は、夜ドライブに連れて行ってくれた。友だちと「芋煮会がしたい」って言ったときも大きな鍋を借りてきてくれた。自分がどれだけ大切にされてきたか、娘の果穂が生まれて分かるようになった。3人から受け取った優しさの種が、自分の中で芽吹いているのを感じるよ。受け取った愛情を果穂に渡していくよ。きっと見ててくれると思って、頑張って育ててます。


 読んでいて涙がこぼれそうになります。突然、大切な人を失う悲しみは、15年経った今も癒えることはありません。

 15年前の今日、ここ大野東中でも卒業式が行われていました。先輩たちが門出を祝っていたその日の午後2時46分、マグニチュード9.0という巨大地震が起きたのです。街を飲み込んだ津波、原発事故…。復興は進みましたが、今もなお故郷に帰れない方々がいて、心の傷を抱えて生きている方々がたくさんいらっしゃいます。

 私たちはこの震災を過去の出来事として片付けてはいけません。

・自分の命を守るための「防災意識」を持つこと

・身近な人の存在を「当たり前」と思わず、感謝を伝えること

 今日、体育館では3年生が卒業式の練習をしていました(写真)。15年前の卒業生が味わった「日常が断絶する恐怖」を思うとき、今、目の前に友達がいること、友だちや家族と一緒に食事ができること、いろいろな人とたわいもない話ができること、様々なことにチャレンジできることなどが、いかに奇跡的なことかに気づかされます。

 今日、ご家族で「当たり前の日常」について話してみてはいかがでしょうか?

 

 東日本大震災から15年。犠牲になられた方々とそのご遺族の方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。


(ひとりごと第1183号)