【9月13日】この道を歩く
- 公開日
- 2024/09/13
- 更新日
- 2024/09/13
校長のひとりごと
人間学を学ぶ月間誌『致知』に、福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治さんと銀座ろくさん亭主人、“料理の鉄人”でも有名な道場六三郎さんの対談が10ページに渡って載っていました。お二人の言葉をいくつか紹介します。
【王貞治さんの言葉】
◆野球でも小細工して勝てたらこんな楽なことはないんですけど、それでは絶対に長続きしません。いずれ化けの皮がはがれる。どんな世界でも、いまはすぐに答えを求める、答えを出そうとするのが流行のようです。しかし、答えを出すまでの過程で努力することが大事なんですよね。常に「もうこれでいい」ってことはありませんから。小細工したちすぐに答えを求めたりしていては、結果的には本物に手が届かなくなってしまうと思います。
◆逆境は次のステップに進むために必要不可欠な跳躍台であって、そこで苦労し逃げずに乗り越えようとして努力していけば、いままでよりも高いところに到達できるのだと教えられました。
◆この道と出逢っていなければどんな人生になっていたか分かりませんよね。若い時は「自分、自分」と考えて生きてきましたが、いろいろな壁にぶつかっているうちに、やっぱり世の中は人で成り立っているんだな、私もたくさんの人に支えられているんだなという気持ちを強く抱くようになりました。一人じゃ何もできません。ですから、人生で一番大切なものは何かと言えば、私は人だと思います。人の想いがあってこそ物事は動いていくし、人に感謝することですね。
【道場六三郎さんの言葉】
♣僕がいつも一番気にかかるのは、お客さんに喜んでもらえたかなということです。「きょうの料理、大丈夫でしたか?」と聞いて、「おいしかったよ」「また来るよ」って素直に言ってくれると、「嬉しい」「有り難いな」と思うんです。もう二度と来たくないと思われたら、たまったものじゃない。
♣うちの店はオープンキッチンなので、「常に見られている意識を持て」とよく若い衆に言うんですが、その意識を持って立ち振る舞いを正していくことが大事だと思います。それから、ふきんはぐちゃぐちゃにして置くのではなく、きちんと綺麗にたたんで置く。包丁の刃はお客さんのほうに向けず、自分のほうに向ける。そういう道具の置き方一つ、取るに足らないような些細なことをきちんとやるかどうかによって、印象が全然違います。
♣何事にも感謝する、どんな時も有り難いなと気持ちを持てるか、持てないか。やっぱりすべて皆さんあってのことで、店の者が働いてくれるから、食べに来てくれるお客さんがいるから、今日があるんだと思えるようになったし、生かされているわけですからね。僕はよく「料理は想いやり」と書くんですけど、料理のみならず人生もまた、相手に対する想いやりを持って接することが一番大事じゃないでしょうか。
お二人に共通することがあります。
1つ目は、どんな逆境も苦労も、すべては自分のため、自分の成長の大きな糧となる。だからそこから決して逃げない。言い訳をしない。他人のせいにしない、そして謙虚さを忘れず常に学び続ける、努力し続ける姿勢をもつこと。
2つ目は、相手意識をもつことの大切さ。自分本位ではなく、野球を観に来てくれるファンの皆さん、食べに来てくれるお客さんの立場になって、物事を考えること。自己満足ではなく、お客さんが満足してくれるような“想いやり”をもつこと。
3つ目は、やはり“感謝”を忘れないこと。自分一人で成長、成功したわけではなく、たくさんの人の“おかげ”で今があること。
お二人とも超一流の方です。ですが、そのことに決して驕(おご)ることなく、常に感謝を忘れず努力し続けてこられたからこそだと思います。今回の対談記事を読みながら、何より、お二人の人柄の素晴らしさ、“人間力”のすごさを改めて感じ、たくさんのことを学ばせていただきました。