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【7月31日】予知

公開日
2025/07/31
更新日
2025/07/31

校長のひとりごと

 昨日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7(推定)の地震がありました。私がそのことを知ったのは、大野城市中学生被災地派遣研修の団長として引率されている校長先生からの連絡でした。「高台に今、避難しているところです…」という文面でした。テレビを付けてみると、日本全国に津波警報や注意報が出て「つなみ!にげて!」の文字で驚きました。幸い、夕方には被災地派遣研修の子どもたちも引率の方々も無事宿泊先に着いたとの報告を受け、一安心したところでした。本日午前中は研修、そして午後から予定通り福岡に帰ってくるそうです。

 さて、今朝の西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 江戸末期の安政南海地震は津波の防災に貴重な教訓を残した。和歌山県広川町に伝わる「稲むらの火」の故事である。地震の後、いち早く津波を察知した実業家の浜口梧陵(はまぐちごりょう)が自分の田の稲束に火を放ち、暗闇を逃げ惑う村人を高台に導いて救ったという話だ。後に浜口の行動を知った小泉八雲は村人を救った生き神の物語として短編を書き、TSUNAMIという言葉と共に広く知られることとなった。

 きのう朝、日本列島の太平洋沿岸に津波注意報が出された。間もなくロシアのカムチャツカ半島付近の巨大地震が原因とのニュースが。注意報の多くは警報へ切り替わった。テレビ各局は「つなみ! にげて! EVACUATE!(避難) 高いところへ!」と黄色や赤の太い文字で避難を呼びかける。白い波が川を遡上(そじょう)する映像に東日本大震災を思い出した人は多いだろう。3年前には南太平洋のトンガ沖で海底火山が噴火し、日本各地に津波警報が出た。今回はロシア、日本、ハワイにも津波が到達した。はるか遠くの地震や噴火の影響を受ける、同じ太平洋に面する国であることを実感する。気象庁によると、津波の高い状態は一日程度は継続する見通しだ。室内では酷暑をしのぐだけで精いっぱいというのに、まさか津波警報で外に避難させられるとは誰が想像したか。高台で夜を明かした人もいただろう。少しでも早く終息し、日常が戻ることを願う。


 昨夜、「津波警報」はすべて注意報にはなりましたが、しばらくは津波注意報は継続されるとのことで、解除されるまでは海岸には近づかないように注意が呼びかけられています。昨日、日本国内では沿岸部を中心に約190万人に対しての避難指示や避難勧告が出されました。場所によっては、道路や駐車場の渋滞、避難する途中に崖下に転落し亡くなられた方もおられます。また、高台や建物の屋上などへの避難するも、酷暑のために熱中症や体調不良の心配もありました。まだ津波注意報は継続していますが、今回のことをそれぞれが振り返る必要があると、今朝の産経新聞の社説にも載っていました。


 被害の程度にかかわらず、住民がきちんと避難行動を取ったか検証すべきである。東日本大震災では津波に対する油断が避難の遅れを招き、被害拡大につながったからだ。津波警報や避難指示を早期に把握できたか、直ちに避難を実行できたか一人一人が自問してほしい。家庭や職場での情報共有や避難ルートの周知などが十分だったかも確認し、意識を高める契機としたい。津波から命を守るには、沿岸で大きな揺れを感じたら直ちに避難するのが鉄則だ。だが今回のように震源が遠い場合は揺れが小さいため気付きにくい。気象庁や自治体の情報をしっかり把握することが欠かせない。警報の継続中に海を見に行ったり、避難先から自宅に戻ったりする人はいなかったか。日頃の避難訓練の成果は十分に生かせたか。課題を洗い出して改善につなげてほしい。夏休みで海水浴の最中だった人もいただろう。避難の情報が十分に伝わったのか自治体や地域で調査する必要がある。猛暑の中、多くの人が高台などで長時間の避難を余儀なくされ、熱中症で搬送される人もいた。炎天下の屋外で避難を続けることのリスクが新たな課題に浮上した形だ。十分な水分補給や日陰の確保など健康管理の対策を講じるべきだろう。近い将来の発生が懸念される南海トラフ地震では早期避難の意識向上が減災の鍵を握る。今回の地震は津波が到達するまで時間的な余裕があったが、南海トラフではそうはいかない。東日本大震災から14年が過ぎ、津波から逃げる意識の風化が懸念されている。直ちに避難することの大切さを改めて肝に銘じたい。


 南海トラフ地震が今後10年以内起こる確率は20%程度、20年以内だと40~50%、30年以内になると何と70~80%といわれていますから、真剣に考えるべきことです。地震が起きることを、できるだけ早く正確に予知するシステムがあればいいのですが、今のところはそう簡単なことではありません。

 そう言えば、一昨日夕方、千葉県館山市の平砂浦海岸で、体長7~8mのクジラ4頭が打ち上げられていたとのこと。もちろん、今回の地震との関係などはわかっていませんが、2011年の東日本大震災やニュージーランド地震のときも、地震前にクジラが打ち上がったことがあったそうです。「深海での異変に気づいたクジラが何らかの影響を受けたのでは…」との見解を示される専門家の方もおられます。

 私たちは、今回のことも含め「他人事」と考えず、学び、確認し、準備しておくことが大切なのだと思います。


(ひとりごと 第1063号)