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【4月19日】毎日の積み重ね

公開日
2023/04/19
更新日
2023/04/20

校長のひとりごと

 5時間目、新しい教科書をもらった1年生も、そしてもちろん2年生、3年生も一生懸命に授業に取り組んでいました。先生方も、様々な工夫をしながら授業を進めています。また、「なぜこの教科を学習するのか?」「どうやったら、身につくのか?」などについて、熱く熱く話されている先生もおられました(先生方の情熱に私も負けないようにしなければ…)。
 教科の学習を通して、内容を理解していくことはもちろんのこと、学び方や考え方、思考力・表現力・判断力などを身につけていくこが大切です。さらには、中学校の学習が今後の基礎であり、自分の可能性や将来の方向性のヒントにもなるのではないかと思います。人は、学び続けるものです。それは一生続きます。私も未だに学びが足りないと感じることばかりです。このひとりごとも、自分の“学び”でもあると思って取り組んでいます。子どもたち、そして保護者の方々、これを読んでくださる方々と一緒に考え、学んでいけたらと思っています。

 さて、人間学を学ぶ『致知』の、人気日本料理店「賛否両論」店主、笠原将弘さんのコラムからです。
 笠原さんは、両親が営む焼き鳥屋で多くの時間を過ごし、その両親の姿を見ながら跡をつぐことを考えていました。大学までは行きなさいと言っていたお母さまは、笠原さんが高校1年生のときに亡くなりました。そして、進路を決めるとき、パティシエのワールドカップに密着した番組を見て感動し、自分自身も世界と戦える料理人になりたいと考えました。その話を打ち明けられたお父さまは、日本料理の知り合いに頼み、息子を名料亭「吉兆」グループの一つに19歳で入社させたのです。そこから厳しい修行の日々が続いたそうです。その中で、感じたこと、大切だと思われたことが書かれていました。4つ書かれたうちちの2つを紹介します。

◆突然訪れるチャンスをつかむ
 1年目の主な仕事は、掃除や片付け。実際に調理がしたいという気持ちを抑え、雑用も立派な料理人の仕事だと捉え、大きな声で返事をすること、「掃除や鍋磨きをさせたら笠原が一番だ」と言われることを意識しました。また、常に心がけていたのは、効率を考える段取り力です。小さい頃に親父から「手ぶらで歩くと効率が悪い。料理を届けに行った帰りはお客さんの空いたお皿を持って帰ってこい」などとしつこく言われ続けていたこともあり、どのような順番で仕事をすればいいか考えながら仕事をしました。そのおかげで、突然の先輩の休みや大量注文などのとき、担当外の仕事を任されました。「笠原だったら、仕事を任せてもいいかな」と思われる仕事ぶりを常日頃から心がけていれば、そのチャンスをつかむことができる。平凡な毎日の積み重ねが、挑戦への切符へに繋がると実感しています。
◆時間は平等に与えられている
 32歳で、価格を抑えワンコース制で老若男女が楽しめる日本料理店をつくりたいと始めたのが「賛否両論」です。お客さまを心から楽しませる「遊び心」を心がけたお店づくりが好評を博し、連日満席の人気店になりました。しかし、決して順風満帆ではなく、開店から8年目、妻をガンで失いました。時に憤りを感じながらも親族に支えられ、仕事に全力投球してきたのです。
 だからこそ、僕が二十代を生きる方に伝えたいのは、時間は無限ではない、ということです。大切な人たちとの生と死に向き合ってきたからこそ、命のはかなさを痛いほど知っています。平等に与えられた時間をいかに使うか。その意識の有無が人生を決定づけると思います。今の時代、やりたいことが見つからないと嘆く人も多いでしょう。アドバイスをするとすれば、とにかく片っ端から挑戦してみることが大切だと思うのです。失敗しても命をとられるわけではありませんし、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるように、思いもよらないきっかけが新たな自分の発見に繋がるかもしれません。
 呆然と過ごしていると、人生はあっという間に過ぎ去ります。若いと思って時間を無駄にせず、一瞬一瞬を精いっぱい生き抜いてほしい。そう願うばかりです。

 私は、別の方にも言われたことがあります。「チャンスは誰にでも訪れる。そのときにチャンスに気づく鋭い感性、そして何より日頃からの努力の積み重ねで力をつけておくことが大切である」と。また、時間は1日24時間、確かに平等です。24時間で足りないくらい忙しいときもあります。しかし、どんなに頑張っても24時間は変わりませんので、それをどのように有効に使うかはすべて自分にかかっているということだと思います。ただ、いつも頑張れる訳ではありません。息抜きをしたり休んだり、自分の好きなことをしたりすることも、次への活力やエネルギーとなります。そんな時間も自分でつくり、それぞれの目標に向かって「小さな積み重ね」をしていきたいものです。