【4月27日】「言葉」を育てる
- 公開日
- 2023/04/27
- 更新日
- 2023/04/27
校長のひとりごと
日本教育新聞『不易流行』からです。
二十四節気の「穀雨」の候である。春の柔らかな雨が百穀を潤し、芽を出させる。本格的な農作業が始まる。学校の花壇でも冬を越した球根が花を咲かせていることだろう。二十四節気は古代中国で成立した。今の日本の季節感と合致しないところもあり、10年ほど前に日本版の季節の言葉を作ろうという動きがあった。日本の季節の移ろいを表すものに「山笑う」など「季語」がある。ある出版社では「俳句歳時記」を15年ぶりに大改訂した。時代に合わせて新しい季語を加え、例句を見直したという。秀句が載っているので、読み物としても楽しめる。
学習指導要領に「伝統的な言語文化を学ぶ」ことが明記されるようになってから、子どもたちも俳句作りに取り組むようになった。宿泊行事での経験を17文字で表現したものが校内に掲示されていたりする。俳句作りが楽しくなった子どもが、俳句歳時記について新しい言葉に出合い、語彙(ごい)を増やしたという。俳句や短歌は推敲(すいこう)を重ね、限られた文字で情景や心情を豊かに表現する。3月まで放映されていた朝ドラでも心に染みる短歌が使われ、「言葉の力」を感じた。SNSの利用が拡大し、反射的なコミュニケーションや刹那的な発信が増え、傷つけられる人も少なくない。自分自身の中の「言葉」を育てる努力を続けなければならないと思う。
文中に出てくる朝ドラは「舞いあがれ!」というもので、そのメインライターである桑原亮子さんは歌人でもあり、劇中に彼女の素敵な作品が何度も登場したということです。
それにしても“言葉”というものが、いかに人間にとって大切か、そして言葉の持つ力の大きさを日常生活の様々な場面で感じることが皆さんにもあると思います。優しい言葉、思いやりのある言葉、励ましの言葉、配慮のある言葉、感謝の言葉…それらは、人の心をあたたかくし、勇気や元気をもらうことができます。一方で、相手を傷つける言葉、誹謗中傷などは、人の心を痛めつけ立ち直れないほどの傷になることもあるし、生きていることさえつらくなり命を…そんな悲しい最悪の事態となることもあります。
私たち教師の仕事は「教える」「伝える」ということが大きな仕事でもあります。そんな私たちの一言が、子どもたちに大きな影響を与えることがあることを自覚し、私たちの中にある「言葉」を素敵な言葉へと育て、子どもたちの未来への指針となるような言葉を発することができればと思います。
そして子どもたちにも「言葉」の持つ力の大きさを伝え、言葉を大切に使う人へとなってほしいと願っています。
そうそう…昨日の部活動終了時間、校門で子どもたちの下校を見送っていると、女子バレー部の一人の子が私のところへかけより
「校長先生、この前教えてもらったレシーブの構えを練習試合で実践したら、レシーブがうまくいきました。ありがとうございました!」
と言ってくれました。「いえいえ、たいしたことは教えてませんよ!それはあなたが素晴らしかったんですよ!」と言うと、
「いえ、校長先生のおかげです。ありがとうございました!また、練習に来てください!」
本当に素敵な「言葉」を伝えてくれる子だと心から感心するとともに感動しました。こちらこそ、本当にありがとうです…。毎日、大野東中の子どもたちから学ばせてもらうことがいっぱいです!