【5月12日】しなやかな心
- 公開日
- 2023/05/12
- 更新日
- 2023/05/12
校長のひとりごと
全日本野球協会会長の山中正竹さんの「竹の如(ごと)く」という文章が『致知』に載っていました。山中さんは法政大学在学中に東京六大学野球リーグで史上最多の48勝を記録し、住友金属工業野球団で都市対抗野球に7年連続出場し、同社野球団の監督、オリンピック野球監督、法政大学、大学日本代表チームの監督などもされてきた方です。一部抜粋要約して載せます。
竹の如く生き続けたい…。正竹(まさたけ)という自分の名にちなみ、私が生き方の理想としてきたのが「竹」です。約七十年に及ぶ私の野球人生は、必ずしも順調な時ばかりではありませんでした。苦しい時には、大地に堅固(けんこ)な根を張り、まっすぐに、強く、しなやかに、凜として、品性を保ち成長する竹の姿を励みに歩み続けてきたのです。
エリート選手でもなかった私が四十八もの勝ち星をあげられたのは、誰よりも負けず嫌いで、誰よりも考え続け、そして誰よりも根性があったからだと思います。いまは根性という言葉は敬遠されがちですが、辞書にある本来の意味は「困難にもくじけない強い性質」「物事を成し遂げようとする強い精神力」であり、人間としての大切な資質といえます。
監督や仲間にも恵まれました。当時の松本怜一監督は、早くに結果を出した私に、「一年生で早く飛び出した投手で、四年間エースで居続けた投手はいない。チヤホヤされて勘違いして努力を怠るとそうなるぞ」と諭(さと)してくださいました。この言葉をいい加減に聞き流していたら、決して四十八勝は実現できなかったでしょう。周囲のアドバイスにどれだけ真摯に耳を傾け、自分に活かすかが成長を大きく左右するのです。…(中略)…
私がここまで曲がりなりにもチームや組織を率いることができたのは、住友金属でよい上司に恵まれ、「組織は人」であることを学んできたことが大きいと思います。
私はこうした体験を踏まえ、「人は信なり。信は誠なり。誠は学なり」を信条に人を率いてきました。大切なのは相手との深い信頼関係であり、信頼は相手と誠実に向き合うことで築かれること、そして誠実さは学びによって養われることを心に刻んできたのです。…(後略)…
山中さんの言う「根性」は、今では「やり抜く力」や「レジリエンス(回復力・適応力・弾性)」にも通じることです。私も実は「竹のようにしなやかな心」というものがとても大切だと思っていて、今述べた「やり抜く力」「レジリエンス」「耐性」「寛容な心」をもった子どもたちを育てていきたい、共にそうありたいと思っています。
予測困難な未来を担う子どもたち、未来を創る子どもたちが、自ら課題を見つけ、その解決のために粘り強く努力し、周りと協働していく。それこそがこれからの子どもたちに求められることでもあると思います。そのとき、人の真摯に耳を傾けたり、謙虚な姿勢で努力を続けることもまた大切なことです。
子どもたちは今、第53回体育祭の成功へ向けて粘り強く取り組んでいます。まっすぐに、しなやかに一生懸命取り組んでいます。きつくても弱音を吐かず、全力で頑張る実行委員やリーダー、係長の子たちの姿を見ながら必死で支え、負けないくらい頑張っている子たちがたくさんいます。周りと真摯に向き合い、信頼関係を築きながら一日一日と成長し続けています。そうやって「学び」続けているのだと思います。
志をもって、人間性を磨き、しなやかな心で様々なことに取り組み、貢献できる子どもたちを育てることが学校の使命でもあると思っています。そのためにも学校・家庭・地域が連携しなければと思います。