【11月15日】“準備”と“気配り”
- 公開日
- 2023/11/15
- 更新日
- 2023/11/15
校長のひとりごと
小宮一慶さん著『松下幸之助パワーワード』の中に松下幸之助さんの言葉を引用し、このようなことが書かれています。
「小さなことができる人は信頼され、仕事ができると評価される」
時が来ないと成らないことが、世の中にはあります。冬の間に桜の木がエネルギーをためているように、人も、花が咲くときを、じっくりと待つことです。「チャンス」の対の言葉は、「準備」です。準備を念入りにすればするほど、時が来たら、大きな実がなるのではないかと思います。同時に、準備の際には小さなことをおろそかにしてはいけません。中国の思想家・筍子(じゅんし)の言葉にも、「着眼大局・着手小局」があります。大きなことを成し遂げるためには、大きなビジョンを持って準備を進めることも大事ですが、まず、身の回りの小さなことをきちんとやってゆくことです。小さなことをきちんとできない人は、何事もうまくいかない。私は創業経営者で大成功した人を何人も知っていますが、例外なく、気配りのできる人ばかりです。小さなことに気づき、それがきちんとできる。だから、大きなこともできて、人の上に立てるのです。
私の知り合いの敏腕経営者が、よく言っています。
「会社の中でゴミが落ちているとか、コピー機のフタが開いているとか、気づくのはだいたい私なのですよね」と。大変に多忙でも、オフィスのフロアの細かい部分にまで、普段から目が行き届いているのですね。逆に言えば、だから経営者になれたとも言えます。
幸之助さんもあれほどの大企業のトップでありながら、細かいことによく気がつかれたと聞きます。何でも秘書任せにしたり、部下に押しつけるような方でしたら、あれほどの人望を集めることはできなかったでしょう。ご自身が小さなことをおろそかにされなかったので、周りの人たちも見習うようになり、それがよい社風へと繋がっていました。その上で、小さなことをきちんとできる部下を認め、重用していたことで、さらに社員が小さなことをおろそかにしなくなるという、プラスのスパイラルを生んでいたのです。
私が30年ほど前に進路指導主事を担当させてもらった時、当時は珍しかった「職場取材」などを実施し、進路学習の仕上げとして、先輩の先生と一緒に「進路講演会」を企画しました。講師の方をいろいろと探し、先輩の先生の知り合いの方の紹介もあり、当時からテレビにもよく出演されていた現在日本バレーボール協会会長の「川合俊一」さんに来ていただけることになりました。当日は、学校に地響きがするような歓声の中、川合さんをお迎えすることができ、素晴らしい講演会となりました。そのときに、川合さんが「チャンスは誰にでも訪れる。そのときのために、日頃どれだけの努力をしてどれだけの準備をしているかが大事!」ということを実体験を交えながら話されました。なるほど!と私も共感したことを覚えています。実際、様々なところで活躍されている多くの方が「準備」の大切さを話されます。また、日々の小さなことを大事にされていることがわかります。
さらに、「気配り」のことも…。人の気持ちがわかるとか、相手意識があるとか、そして、気配りができるとかもまた、成長したり成功するための大きなカギとなっています。私も自分はまだまだ足りないのですが、「目配り・気配り・心配り」をモットーにこの仕事を続けてきました。小さなこと、些細なことと思われるようなことにも気づき、行動できる。そして、気配りのできる周りの人に感謝をしたり、きちんと認めたりすることでそれが広がっていくのだろうと思います。
子どもたちも私たち大人も、「準備」と「気配り」をもっと心がけ、日々の生活を送ることで、さらに成長していくのではないかと思います。
そうそう…昨日の帰りの会が終わって、校門で挨拶をしていると、3年生の子が二人、「さようなら」と挨拶をしてくれたあと、「あ!校長先生、私、ひとりごといつも楽しみしてます」「私も!…毎日読んでます!」と声をかけてくれました。私はまた、とても嬉しい気持ちになりました。気配りや心遣い、笑顔は、人を幸せな気持ちにしますよね。ありがとうm(_ _)m