【3月1日】相手意識
- 公開日
- 2024/03/01
- 更新日
- 2024/03/01
校長のひとりごと
あっというまに3月になりました。1週間後は、3年生の卒業式です。学校では、3年生のための準備を着々と進めているところです。3年生が気持ちよく、この学校を巣立っていけるよう、みんなであたたかい卒業式にしたいと思っています。一方で、来週火曜日に公立高校一般入試を控えている子どもたちにとっては、まだまだ緊張の日々が続いていることだと思います。最後の最後まで努力をし、体調も含め、ベストの状態で入試に臨んでほしいと思っています。がんばれ!子どもたち!!
さて、昨日に引き続き、エッセイスト 松浦弥太郎さんの著書『伝わるちから』からです。
「その人を思うこと」
「すんぎり」という言葉を知っていますか?
つい先日、『日本料理かんだ』の神田裕行さんに教えてもらった言葉だ。漢字で書けば、「寸切り」で、おもに野菜を切るサイズを指す言葉らしいが、寸とは一寸のことで約3センチ。野菜は3センチの長さに切るのが基本だという。一寸は人差し指と中指の二本の幅が目安。どんな食材においても、寸切りもしくはそれよりも小さく切るというのが正しいとのこと。それは一体なぜでしょうか。
「一寸というのは、子どもから大人までの口の平均の大きさなんです。寸切りをするというのは、それを食べる人にとって、一番食べやすい大きさに切るということ。料理は、味や見た目よりも、食べる大きさがもっと大切なんです」
と、神田さんは教えてくれた。誰もが食べやすい大きさに切るのが基本、という心持ちに僕ははっとした。
仕事においても暮らしにおいても、相手の何かがしやすいようにひと手間かける、もしくは心がけることは、実際には気がつきにくいことでもある。だが、それができていれば無意識に心地よさを生んで、料理においてはおいしさにつながる。暮らしにおいては、心地いいとか、嬉しいとか、楽しいにつながることなのだ。
どんなことにもその先には人がいて、その人を思うことで、小さな工夫やアイデアが生まれ、いつしかそれが基本になっている。そうかあ、基本が基本である理由には、必ず人への愛情が隠されている。基本とは愛のかたちなのだ。
気配りのできる人、“相手意識”の高い人の仕事ぶりは違う。文書であっても、見やすい、わかりやすいものになっている。また、日常のちょっとした言葉かけや行動の中にも、“相手意識”があるので、相手は心地よいし、事がスムーズに運ぶことも多くなると私は思っています。誰しもが、たとえ直接会わない人であっても、“その先の人”を想像した仕事や生活を意識していけば、人間関係も良好になると思います。“相手意識”…大切にしたいです。