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【7月16日】“幸せ”を数える

公開日
2025/07/16
更新日
2025/07/16

校長のひとりごと

 人間学を学ぶ月刊誌『致知』8月号に、スポーツジャーナリストの増田明美さんと、作家・エッセイストの浅見帆帆子さんの対談が載っていました。増田さんは、若いときに浅見さんの『あなたは絶対!運がいい』というベストセラー本を読まれました。その本の中の「言い訳をしない」「愚痴を言わない」という言葉が心に響き、自己中心的な自分を振り返ることができ、人生が大きく好転したと話されています。お二人の対談の中での言葉を一部抜粋して紹介します。


[浅見帆帆子さん]

◆若い頃は、嫌なことや辛いことが起こると「なんて運が悪いの?」とか「いいことの後には悪いことが来る?」とか思ったこともありました。でも、いま四十代後半でいろいろな体験を積み重ねてつくづく思うのは、常にベストなことしか起きていないっていうことなんです。何に対してベストかと言ったら、自分が日頃、心で望んでいることに対して。例えば、仕事について、もっとこうしたい、こうなりたいと常日頃思っているとするじゃないですか。そうすると、考え方の枠を広げたり、現実的な進め方を工夫したり、スタッフへの対応の仕方を変えたり、要は成長しなければいけないことが必ずある。それを気づかせるためにハプニングは起こるんですよね。

◆人生って選択の連続じゃないですか。だからその瞬間瞬間に、本音でどっちがいいと感じているかをすごく意識しています。…(中略)… その仕事をするかしないか、誰とやるか、やり方もすべて、自分の心がワクワクするほうを選択する。これは我を通して好き勝手に生きることではもちろんなくて、選択の基準をいつも自分の心が反応したほうに置く。それができる環境をつくるということです。

 毎日のルーティーンに関しては、毎晩寝る前にきょう幸せだったことを三つ思い出して寝ています。例えば、ゆっくりお風呂に入って癒されたというものでも全然いいんです。とにかく幸せなことにフォーカスして寝る。


[増田明美さん]

■いま私が日常で大事にしていることは、『論語』の「知好楽(ちこうらく)」です。これは『致知』から学びました。

「之(これ)を知る者は之を好む者に如(し)かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かす」

 知っていることは素晴らしい。ただ、知っているだけの人よりも好きな人のほうが優っている。で、好きな人よりも楽しんでいる人のほうがここぞという時に一番よい結果を得られる。どの世界でも、一つ事に一所懸命打ち込んでいくと、この経過をたどりますね。

■私いま日本パラ陸上競技連盟の会長を務めています。パラスポーツの振興に力を入れているんですけど、パラの選手たちは魅力的です。困難やハンディキャップを乗り越えて競技に打ち込んでいて、性格が明るくて面白いんですよ。パラリンピックの父と呼ばれているグッドマン博士が「失ったものを数えるな。残されたものを最大限生かしましょう」という名言を残しています。先天性の病気で失明して全盲になろうが、事故で足を失って義足になろうが、他の機能を磨き続けているんですね。失ったものを数えるのではなく、幸せを数えて生きているので、近くにいると元気になります。これも大切な日々の心得だと思います。


 お二人の言葉から言えることは、

「嫌なことや辛いこと、ハプニングがあったとしても、それを自分の新たな“気づき”や成長のチャンスと捉えること」。

「目標に向かって努力していくことはもちろん大切であるが、何より楽しむ姿勢が大切であること」。

「日常の小さな幸せ、今ある幸せに気づく感性を持つこと。そしてそのことに感謝をすること」。

 だと思います。やはりすべては「心の持ちよう」ですね!


(ひとりごと 第1060号)