【3月21日】3の倍数
- 公開日
- 2024/03/21
- 更新日
- 2024/03/21
校長のひとりごと
今朝の西日本新聞のコラム『春秋』からです。
その数字が3で割り切れるのか、つまり3の倍数かどうか調べるのは意外と簡単だ。例えば2517なら2と5と1と7を足して15。この数字が3の倍数であれば、元の数字も3の倍数。割り切れると何だかスカッとする。
作家の万城目学(まきめまなぶ)さん(48)自身について「3で割り切れぬ人生」と表現する。何の根拠か、母親が「3で割り切れる受験番号はラッキーだ」と言っていた。受験のたびに受験番号を3で割ってみたものの、割り切れたことがない。18歳の春、大学受験は不合格だった。何かしら人生が損なわれたように感じたという。新しいことは学ばず、すでに教えてもらったことをひたすらおさらいする日々。「浪人生とは止まることを強いられる生き物だ」と。何のために勉強するのか、生きるのか。同じ境遇の友人たちと語り合い、初めて人生について真面目に考えた。「私が自分の言葉というものを生み出し始めたのは、浪人生のときからだろう。つまり、私の人生が始まったのだ」(「べらぼうくん」より)。
万城目さんは初めて文学賞を受賞した際、うまく喜べなかった。「3で割り切れぬ人生」と思い込んでいたからだ。それから20年近く。1月には6回目のノミネートで直木賞を受賞した。はにかんだ笑顔が印象的だった。人生は割り切れることばかりではない。むしろ3で割ったときに出る1や2の余りこそ、いとおしく感じる春である。
数学の授業の中で、2の倍数(偶数)や5の倍数の特徴などを教えます。そのときに、教科書に載っていなくても私は3の倍数や4の倍数の特徴などを教えていました。コラムに紹介されているように、3の倍数の特徴を教えて、実際にいくつかの数字で試してみたとき子どもたちは、「へぇ〜」「すごい!」「ほんとになった!」「面白い!」などと、結構驚いてくれたり、感心したりしてくれます。
しかし、人生はコラムにあるようにきれいに割り切れないことの方が多いのではないかと私も思います。ですが、割り切れないとかうまくいかないからこその新しい発見であったり、新たな可能性へのきっかけであったりするのかもしれません。万城目さんも、大学受験で失敗し、浪人時代があったからこその作家人生であるし、それによって直木賞をとるまでの作家さんになったのだとおっしゃっています。
明日は1、2年生の修了式。そして、3月は年度の終わり、すなわち「節目」です。3年生がそれぞれの道へ進んでいくように、1、2年生も新しい学年・学級へと変わっていく春です。新たな出会いをして、またたくさんの刺激やきっかけをもらえるのではないかと思います。これからもたくさんのチャレンジをして、可能性をどんどん広げていってほしいと思っています。
別れの春、そして出会いの春…