【11月7日】謙虚さは魔除け
- 公開日
- 2024/11/07
- 更新日
- 2024/11/07
校長のひとりごと
本日11月7日は「立冬」。冬の始まりということになります。昨日・今日はやっと今の時期らしい気温になっています。そんな中、3年生は今日の午後、保護者の方にもご来校いただき、「進路学習会」を行います。
3年生は11月の学力診断テストも終わり、いよいよ進路決定のための二者面談、三者面談となります。子どもたちには、これまで参加した高校等の体験入学やオープンスクール、様々な説明会やパンフレット、また、保護者の方や先生方をはじめ様々な方からのアドバイスなどをもとに、最終的には自分自身で進路先を決定していきます。そのときの進路選択が絶対に正しいかどうかは誰にもわかりませんが、どのようなに進もうとも、その進路先でどう頑張っていくかが大切だと思います。高校等に進学することは、長い人生の中では通過点であり、「ゴール」ではありません。しかしながら、これから社会の担い手として活躍していくために、大切な時間であることは間違いありません。そのために、しっかりと考え決断し、その目標を実現していってほしいと思います。苦しいこと、きつくなることもあるとは思いますが、乗り越えてほしい…そう願っています。
さて、人間学を学ぶ月間誌『致知』に、日本航空元会長補佐専務執行委員の大田嘉仁さんが「稲盛和夫に学んだ運命を高める生き方」というタイトルで稲盛さんの言葉を引用し書かれたものが載っていました。大田さんは、稲盛和夫さんの側近として30年近く行動を共にされ、JALの再建にもかかわり大きな役割を果たされた方です。その一部を抜粋要約します。
稲盛さんの言葉で特に印象に残った言葉…一つ目は「神様は平等だ」と言う言葉です。これは人生で苦労して辛い思いをしている人たちを励ます言葉です。「努力を続ければいつか必ず花が開く。万能の神様は平等なはずだから努力している姿を必ず見てくれている」と教えているのです。さらに、稲盛さんは、「どんな厳しい状況に置かれようと、あるべき姿、明るい未来を絶対に目指さなくてはならないと思うようになった。そうすると妬(ねた)みや嫉(そね)みがなくなった」と語っています。人生ではどんなに努力してもうまくいかないときがあります。その時、心の中には「世の中は不公平だ」「なぜあいつだけがいい目を見てるんだ」と妬みや嫉みが生まれてくるかもしれません。しかしそれでも、「神様は平等なのだから、自分にも絶対に明るい未来がある」と信じられるのであれば、そのようなマイナスな思いは消えていくと教えているのです。…
一方で、「人間は成功しかけると、どうしても狂うので、自分への強い警戒心が不可欠になる」という言葉も印象的です。稲盛さんは「謙虚さは魔除(まよ)け」と教えていますが、謙虚さが大事だと分かっていても、成功しかけると知らず知らずのうちにおごり高ぶり、結局は狂ってしまうんだという強い警鐘(けいしょう)の言葉を残しているのです。「悪魔はニコニコ顔でやってくる。哲学がないとそれに乗り、失敗してしまう」という言葉もあります。…自分の心の弱さを自覚し、順調にいっている時にこそ、「自分は狂うかもしれない。悪魔のささやきに負けてしまうかもしれない。だから、自分の心の変化を警戒しよう。自分の哲学をもっと強いものにしよう」と思うことが大切になるのです。
人のことをうらやましくそして憎らしく思う感情である「妬み」、人をうらやましく思う感情が募り悔しく腹立たしくなる感情である「嫉(そね)み」、心の狭い私は今までも思ったことが何度もあります。「なんで自分だけ…」「なんで自分ばかり…」…そんな感情がわいてきて、気持ちがマイナスになっていくことがあります。しかし、大田さんが学んだ稲盛さんの言葉をこうやって改めて目にしたり、常に前向きに頑張る子どもたちや先生の姿を見たり、勇気や元気が出る言葉を聞いたりすると、「このままではいけない。何て自分は心のせまい人間なのだろう。人のせいにせず、自分が努力して乗り越えなければ…」と思い返します。大田さんの言葉にもあるように、頑張っても頑張ってうまくいかない、思うようにいかないことが往々にしてありますが、それでもなお私たちは、前を向いて、努力を続けていくことが大切だと思います。人間には弱さがあり、心が折れそうになると人のせいにしたり、やめたくなったりすることもあります。しかしそれでも、見てくれている人がいる、認めてくれる人がいる。だからこそ、その弱さを乗り越えながら、一歩一歩進むことが必要だと思います。うまくいったときは“おかげさま”の気持ち、そして、“謙虚さ”を忘れないようにしたいと改めて思います。