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【12月3日】微力であっても…

公開日
2024/12/03
更新日
2024/12/03

校長のひとりごと

 12月1日付、西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 きょうから師走。能登半島地震から11ヵ月になる。地盤が隆起して船が出られない状態が続いた輪島港では約10ヵ月ぶりに漁が再開し、名物ズワイガニの水揚げが始まった。石川県珠洲市の蛸島小では恒例のズワイガニ給食が振る舞われた。地元の漁師も多くが被災したが何とか準備できた。1人1杯ずつのズワイガニを慣れた手つきでおいしそうに食べる姿はさすが港町育ちだ。

 厳しい冬へ向かう能登に、のっぽのサンタからプレゼントが届いた。吉川晃司さんと布袋寅泰さんの音楽ユニットCOMPLEXが復興支援ライブの収益10億円を石川県に寄付した。水産業再建や子どもたちの将来を支える基金を創設する。俺たちは忘れていないから…。ロッカーの優しさと行動力がどれだけ被災地を励ましているか。

 災害対応を議論してきた国の有識者会議は先週、場所(避難所)から人(被災者)への支援の「転換」を提言した。言いたいことはわかるが、いくつもの地震を経験した災害大国の提言がまだそんな段階かとも思う。避難生活のストレスや病で亡くなった人の数が、地震で直接亡くなった人の数を超えた。生き延びても生き続けられない。

 関東大震災から100年たっても避難所の雑魚寝が続く国。石破首相はおとといの所信表明で「被災者を苦難の中に置き続けることは国家としてあるべき姿ではない」と述べた。あるべき姿を一日でも早く。


 能登半島地震から間もまく1年が過ぎようとしているなんて、時が経つのは本当に早いと感じます。しかしながら、その復興や復旧にはまだまだ多くの課題が残っています。決して解決したわけではありません。

 震度5強の揺れに建物の倒壊や液状化など大きな被害に見舞われた氷見市では、復旧は依然遠いままとの報道もあっていました。現地取材から、次のようなことが言われていました。

◆すっかり空き地になっていますが、北大町にあった酒屋などが潰れてしまっていた現場は、解体がすでに終わって中庭だけがあらわになっています。そして、向こうでも骨組みがあらわになっていますけれども公費解体が続いています。

◆車の通りはありますが、人通りはほとんどありません。ブルーシートも掛けられたままですし、舗装もありません。ほとんど変わらない状態が続いています。

◆あそこが番屋街ですが、この辺はよく来ていますが、全然変わらないです。マンホールの辺りが割れたままですし、ひびもそのまま。このあたり、浮いたままですね。


 公費解体もなかなか進まないため、自費解体される方もいますが、それでもまだまだです。さらに再建となると、財政的な面も含めて課題は山積しています。

 そんな中の10億円の支援。これは今年、5月15日・16日、東京ドームで「日本一心」を掲げ、2日間で10万人を集めて行われた能登半島地震復興ライブの収益です。そのライブの中で、吉川晃司さん、布袋寅泰さんはこんな言葉を発しておられます。

■「日本一心」へようこそ。人間なんて大自然に比べればちっぽけな存在だけど、力を束ねれば奇跡は起こせる!被災地にエールを!(吉川晃司さん)

■能登半島をはじめとする被災地への復興支援に賛同してくれた5万人が、日本全国からここ東京に集まってくれました!吉川が言っていたけど、それぞれはちっぽけな存在かもしれないけど、今日ここで被災地のために、そして俺たちの未来のために、心も体も一心同体となって被災地にエールを送りましょう!(布袋寅泰さん)


 元々ロック界で絶大な人気を誇るCOMPLEX。きっと、もの凄い盛り上がりのライブだったと思いますが、このような方々の言葉や支援は被災地の皆さんにも、勇気と希望を与えるものだったに違いありません。

 私たちにはこんな大きなことはできませんが、たとえ微力であっても、被災地のことを忘れず小さな支援や応援はできることがあると、改めて考えさせられたコラムでした。