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【12月6日】百才あっても…

公開日
2024/12/06
更新日
2024/12/06

校長のひとりごと

 人間学を学ぶ雑誌『致知』に、アサヒ飲料社長の米女太一(よねめたいち)さんが寄稿されたものが載っていました。


 アサヒビールの本社で長らく人事畑を歩んでいた私が、千葉支社の営業部へ異動を命じられたのは1996年。入社10年にして初めて営業部に携わることになった私に、役員であった上司がはなむけの言葉として色紙に書いて贈ってくださったのが、「百才は一誠(いっせい)に如(し)かず」という言葉でした。

 経験が長ければ強いわけではない。相手に百の才能があっても、誠実のほうが勝つこともあるから、一所懸命頑張ってこい。

 海千山千の強者(つわもの)が鎬(しのぎ)を削る営業の現場へ飛び込んでいく素人の私に、この言葉がどれほど大きな勇気を与えてくれたことでしょう。それまでの経験から、仕事は人と話をすることから始まるというのが私の実感でした。営業の仕事もきっとそこは変わらないはず。お客さま一人ひとりとしっかり対話を重ね、相手の思いにどこまで応えられるかが勝負だと考えました。

 営業先は、地域の酒販店様、飲食店様、酒問屋様など、いずれも一国一城の主として真剣に仕事に打ち込んでおられる方ばかり。新たにこんなことをやっていたいが意見を聞きたい、こういうニーズがあるが上手い対応方法はないだろうか。「百才は一誠に如かず」という言葉を心に刻み、寄せられるご相談に一つひとつ誠を尽くしてお応えしたおかげで、私は在任中にお客さまと深い信頼関係を築くことができました。以来この言葉は、私の大切な座右の銘として今日までビジネス人生を導いてくれたのです。…(後略)…


 工場の皆さんが仕事帰りに立ち寄る角打ち(立ち飲みができる酒屋)にも通われ、様々な人との対話を大事にしながら、相手の思いを考えを理解し、謙虚さを忘れず仕事を続けてこられました。その姿勢や実績をかわれ、米女さんは2020年に社長に就任されました。米女さんは、その手腕を発揮されながら経営にあたり、コロナ禍であっても好調な営業売り上げを更新し続けられました。

 現在、アサヒ飲料さんは、社会との約束として「100年のワクワクと笑顔を。」というテーマに取り組んでいるそうです。米女さん、こんな言葉をおっしゃっています。


「私がここまでやってこれたのは、上司から『誠』というZ軸を示唆していただいたおかげといえるでしょう(Z軸とは、X軸、Y軸で構成される平面で物事を考えるのではなく、Z軸を加え、三次元で物事を考えるという意味)。そして、これからも『百才は一誠に如かず』という言葉を心に刻んで百年後を見据え、社業を通じてワクワクと笑顔に満ちた幸せな社会に実現に社員と共に邁進(まいしん)していく考えです」


 米女さんは、「常に誠実に、謙虚に物事に向き合うこと」、そして、「粘り強く努力し続けること」の大切さを教えてくれています。