【12月17日】偉業も積み重ね
- 公開日
- 2024/12/17
- 更新日
- 2024/12/17
校長のひとりごと
昨日から2日間かけて、公立高校の推薦入試希望者の校長面接を行いました。緊張しながらも、自分の考えや思いを一生懸命に伝えようとする姿に感動すら覚えました。そういう一生懸命さ、ひたむきさはやはり大切だなと思います。そんな子どもたちの言葉や姿から、また私も頑張らなければとエネルギーをもらいました。面接を受けてくれたすべての子どもたちに感謝します。これからも、自分の進路実現へ向けて、努力を続けてほしいと願っています。
さて、養老孟司さん著『人生の壁』の「偉業は意識して達成するものではない」から抜粋します。
他人から見て大きな事を成し遂げた人であっても、最初から大きな事をしようとしていたわけではありません。偉業というのは、意識して達成するものではないのです。たとえば、アフガニスタンの復興に人生を捧げた中村哲さんは、もともとは虫が好きで蝶を集めてアフガニスタンに行ったことで、現地と縁ができました。その後、医者として同国に赴任し、調べていくうちに、問題は個々の患者ではなく、インフラなど現地の環境にあると気づく。そして見捨てられた農地をよみがえらせるためには、水を引かなければと考えて、実行に移すわけです。結果として、中村さんがやったことは立派な偉業です。しかし彼自身は、偉業を成し遂げようとしていたわけではないし、ましてや後世に名を残そうなどと考えていたわけでもないはずです。本人が日々、やらなければならないこと、目の前にあることを片付けていくうちに到達したのがそこだったということです。極端に言えば、中村さんではない人がそこにしても同じようなことをしたかもしれない(もちろん中村さんでしかできないことがあったのは間違いありません)。
中村さんの生き方に感銘を受けるのは良いですが、最初から中村さんの二代目を目指しても仕方がない。以前から書いているように、仕事の本質は、目の前の穴を埋めることです。穴が空いていたら、困る人がいるだろう。だから埋める。その延長線上に偉業があるかもしれないし、ないかもしれない。ここを理解していない人が多いのです。仕事というのはあらかじめ存在しているものだというのは勘違いです。そういう勘違いをする人はともすれば、上司や会社に「私の仕事を定義してください」などと求めることになる。そんなことは事前に会社に定められるものではないというのが理解できていないのです。まず存在しているのは「穴」のほうです。需要と言ってもいいでしょう。自分のやりたいことが先にあるのではなく、求められることが先にある。
確かに養老さんのおっしゃるように、「偉業を成し遂げよう!」と思ってもそう簡単に偉業なんて成し遂げられません。皆さんもどこかで一度は目にしたり聞いたりしたことがあるかもしれませんが、イチローさんの言葉、「いま、小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道なんだなというふうに感じています」からもわかるように、小さなことの積み重ね、日々の努力の積み重ねこそが、結果として「偉業」に繋がることがある、というとだと思います。目の前の「穴」を埋める…要するにしなければならないことをコツコツとやり続ける、目の前に困っている人がいて、何とかそれが解消できるようにしたいという思いが形となっていった先に、その解決方法や解決の糸口が見つかり、改善されていくのだと思います。今を大切にする、目の前のことに一生懸命に取り組むことの大切さを改めて教えてくれているのだと思います。