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【1月22日】努力の天才

公開日
2025/01/22
更新日
2025/01/22

校長のひとりごと

 今朝の読売新聞のコラム『編集手帳』からです。


 平成の日本経済は深刻な不況も経験した。そのころ、米国でつくられたジョークだという。〈日本人は嘘つきである。不況だというのに、グランドキャニオンには日本人旅行者だらけではないか。忍者はもう存在しないというのに、シアトルにいたではないか〉(早坂隆『世界の日本人ジョーク集』中公ラクレ)。忍者とはもちろん、大リーグのシアトル・マリナーズなどで外野手として活躍したイチローさん(51)である。

 全米野球記者協会がきょう、殿堂入りする表彰者を発表する。満票での選出になれば、野手では初の快挙となる。引退してなお偉大な記録がついて回るのは大スターのゆえんだろう。大リーグ通算3089安打。2004年に残した262本の最多安打記録は破られていない。ここまで書いてイチローさんの魅力を伝えきれないことに気づく。忍者という評も、どこかありきたりで物足りない。読売歌壇の入選作を思い出す。〈匂うほどみがきをかけた庖丁をイチローみたいにかざして仕舞う〉(嘉多野勝利)。打席で投手に向き合う前の、あの凜としたルーチン(ルーティン)を博物館に飾れないものだろうか。


 イチローさんは、シアトル・マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務められていますが、日本の高校野球や女子野球発展のために様々な活動をされています。

 2019年3月に現役を引退したあと高校生や大学生への指導に必要な「学生野球資格」を回復され、2020年後半より、智弁和歌山高校をはじめとする様々な高校へ指導に行かれています。また、高校野球女子選抜チームと試合をするなどしています。その活躍は度々、テレビ等でも放送されています。その中で次のようなことを話されていました。

「今は、未来を担う主に高校生、彼らとの出合いを通じてそれが僕の大いなる目標となってモチベーションにもなっている状況です。さまざまな要因から野球が変わっているわけですが、せめて子どもたちが向き合う野球は純粋なものであってほしいと願っています。時代で変わっていくものがあります。変えてはいけないものもあると思うんです。それを強く意識して子どもたちと接していきたい」。

 テレビで流れるイチローさんは、高校生たちにお手本を見せながら、熱く熱く語っておられました。先日は日本の野球殿堂博物館の殿堂入りとして表彰されていました。そして今回、日本人初でしかも野手では初の満票での米国野球殿堂入りするかが注目されていました。そして先ほどその発表があり、満票には1票届きませんでしたが、得票率99.7%で、ついに日米同時殿堂入りを果たしました。本当に素晴らしいですね!

 最後に、イチローさんの言葉をいくつか紹介します。

◆努力せずに何かできるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうじゃない。努力した結果、何かができるようになる人のことを「天才」というのなら、僕はそうだと思う。人が僕のことを、努力もせずに打てるんだと思うなら、それは間違いです。

◆そりゃ、僕だって勉強や野球の練習は嫌いですよ。誰だってそうじゃないですか。つらいし、大抵はつまらないことの繰り返し。でも、僕は子どものころから、目標を持って努力するのが好きなんです。だってその努力が結果として出るのはうれしいじゃないですか。

◆夢を掴むことというのは一気には出来ません。小さなことを積み重ねることでいつの日か信じられないような力を出せるようになっていきます。


 イチローさんの言葉の数々は、本当に説得力があり、感銘を受けるものばかりです。今もなお、日々のトレーニングを欠かさず、自分自身を追い込むほどの努力をされている「努力の天才」であるイチローさん。小さな積み重ねを怠らず、そして、未来を担う子どもたちに夢を持たせ、野球の素晴らしさ、そして人として大切なことを教え続けておられる姿に感動します。

 イチローさんの日米同時の野球殿堂入り、本当におめでとうございます!!