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【1月24日】親の想い

公開日
2025/01/24
更新日
2025/01/24

校長のひとりごと

 今日は、私立高校の専願入試が行われています。“専願”ですから、受験している子どもたちにとって、第一希望の学校ということになります。落ち着いて、今まで努力してきたことをすべて出し切り、よい結果となるよう祈ります。

 さて、『月刊朝礼(編集部)が本気で考えた朝礼ネタ』の「困難な状況を支えてくれる親の愛情」からです。


 建設会社を経営するEさんは、寒い季節になると思い出すことがあります。少年時代、Eさんは家計を助けるために、新聞配達をしていました。毎朝元気に続けていましたが、冬になると早起きするのがつらく、「休みたい」と思うことも増えてきました。

 ある寒い朝、起きてこないEさんを母親が起こしにきましたが、どうしても起きられず、とうとうそのまま休んでしまいました。

 翌日は配達に出かけましたが、昨日無断で休んだことを、誰からもとがめられません。不思議に思って聞いてみると、自分の代わりに母親が配達したというのです。母親はそのことをひと言もEさんには言いませんでした。「休む」と言ったときも黙って、そのまま寝かせてくれたのです。子どもながらにつらい新聞配達をしていることへの親心だったのかもしれません。それからは、一日も休むことなく続けました。

 そのときの母親の心情を思うと、逆境に立ち向かう勇気が出てくるのだと、Eさんは言います。心を温めてくれる親の思いがあります。


 以前のひとりごとでも紹介した私の入試のときの話です。私はある公立高校が第一志望でした。部活動を引退してからしばらくは勉強にあまり手もつかず、2学期も本気になれない日々が続いていました。両親は私に、「勉強しなさい!」ということは決してありませんでした。しかし、10月頃のテスト結果に先生にも叱られるのと同時に自分自身も危機感を覚え、2学期後半からようやく本気で受験勉強に取り組みました。私立入試も何とか乗り越え、第一志望である最後の公立高校入試。「最後は精一杯にやった」という自己満足で入試に臨み、何とか無事に終えることができました。

 帰宅時、多少の疲れもあったのか、親には落ち込んでいるように見えたようです(※そのことも、後に申し訳なかったと反省しています)。その様子を見て、「息子はだめだったんだ」と思った父親は、その日の夜、“やけ酒”を飲みに行ったと数年後に聞きました。母親は、「やっと終わったね。結果はどうなっても、行ったところで頑張ればいいから…」とだけ言いました。そんな母親は(これも数年後に知ったのですが)祖母と二人で、私の入試のとき、近くの神社に行き、裸足で“お百度参り”をしていたことを聞きました。中学生の頃、“反抗期”だった私は、親に対して愛想がなかったり、反抗したりもしていました。しかし、年齢が上がるにつれ、いかに親が子どものことを大事にしてくれていたかを身に染みて理解するとともに、本当にありがたかったと心から思うようになりました。

 親はいつの時代も子どもが“宝”であり、無償の愛を注いでくれます。多感な中学生の時期、そのことをなかなか理解できず、親子関係で困られることもあるかもしれません。しかし、親がいてくれる、家族がいてくれることがいかにありがたいか、そして、子どもたちのことをどれだけ想ってくれているのか、大事にしてくれているかを私は子どもたちに少しでも伝えていきたいと思います。


 私は、「親はいつまでも元気で、いつまでもいてくれる」という“錯覚”をして過ごしてしまいました。社会人になっても仕事ばかりして、私はなかなか親孝行ができませんでした。「もっとこうしておけば…」と思うことが今でもあります。それでも、両親が私に注いでくれた愛情、そして両親の生き様を思い返し、たとえ苦しくてもまた頑張らなければと私はいつも思います。

 父親の「自分の信念を貫く姿勢」と、母親が大事にしていた「笑顔と感謝」をいつも心に留め、私が頑張ることがせめてもの“恩返し”だと…