【6月3日】未だ…
- 公開日
- 2024/06/03
- 更新日
- 2024/06/03
校長のひとりごと
5月31日の讀賣新聞のコラム『編集手帳』からです。
福岡市は過去、2度の大渇水に見舞われた。その地に住んだ俳人、伊藤通明さんが次の句を残している。
<水荒く使ふ五月となりにけり>
渇水の心配のない年の作ではないか。節水の苦労を知らないと、「水荒く」の快さは伝わりにくいかもしれない。顔を洗うにしてもジャブジャブと水を使える喜びが隠れていそうである。
能登半島地震では石川で11万戸あまりが断水した。直近の県の発表によると、約2000戸まで減少したという。完全復旧が見えてきたとはいえ、水道を使えないつらさは経験しなければ分からないことだろう。輪島市の仮設住宅で、持病のある70歳代の女性が孤独死していたことがわかった。災害関連死かどうかは定かではないものの、持病の悪化によって関連死とされたケースはすでに複数報告されている。生活の変化が強いストレスとなって、被災者を死に近づけると専門家は指摘する。一日も早く以前の生活に戻ることが大事だ。日差しを浴びて汗をかけば、ジャブジャブと顔を洗う。そんな5月が来なかった住民の家や建物がまだ約2000戸もある。大きく減ったとは思わない。
6月1日のニュースで、能登半島地震から5ヶ月が経ち、地震の起きた16時10分に石川県輪島市などで手を合わせておられる方の映像が流れていました。そして、今もなお2000戸近くの家が断水していること、3300人以上が避難生活を送っていることなどを改めて知り、驚きました。仮設住宅は5月31日までに4443戸完成していますが、これも要望戸数の約6割ほどだそうです。
たくさんの方が復旧作業に関わり、5ヶ月もの間、尽力されていてもまだまだ難しい状況、断水については目処が立たない状況であることに心痛みました。水が自由に使えない生活を私は経験したことがありません。水がいつも蛇口からでることは“当たり前”で、ややもすると無駄遣いしているようなこともあります。そういう当たり前の日常にもっと感謝しなければならないと思います。そして、そのような当たり前の生活を送られない方々がたくさんおられること、とてつもないストレスと不安や困難を抱えながら毎日を過ごされていることを決して忘れてはいけないと思います。
毎年毎年、日本のどこかで、世界のどこかで起きている災害…。時間が経つとだんだん意識が低くなっていくことが多いですが、いつどこで起きてもおかしくないのが自然災害です。決して他人事にせず、自分事として捉え、準備しなければと思います。